2013 Fiscal Year Research-status Report
日本の大学英語教育のための参加型「国際英語」教授法のモデルの構築
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24520700
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
日野 信行 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (80165125)
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Keywords | 国際情報交換 / 国際英語 / 教授法 |
Research Abstract |
日本の大学教育のための参加型「国際英語」教授法の研究として、本年度は、大学における「英語による専門授業」(EMIクラス)が国際英語の実践共同体への参加による国際英語の学びとしての機能を果たしていることに着目し、その考察に重点を置いた。特に、EMIクラスが、多数の留学生の存在により、通常の英語クラス(EFLクラス)では不足している国際英語のオーセンティックな使用環境に恵まれていることから、国際英語における相互行為能力の養成を期待できる。研究代表者自身の大学院授業を含む、大阪大学でのEMIクラスの撮影などを通しての分析を行った。その成果は、2014年3月にオーストラリア(ブリスベン)のグリフィス大学で開催された国際シンポジウム "The use of English as a medium of instruction in higher education in the Asia-Pacific"において、研究代表者(日野信行)による基調講演 "English-Medium Instruction (EMI) in Japanese universities: An opportunity to learn English as an International Language (EIL)"として発表した。 「国際英語」教授法について、当該年度は、上記の他には、日本「アジア英語」学会及び大阪大学の出版物における日野による論文2編、大阪大学の出版物における連携研究者(小田節子)による論文1編、2013ELLAK国際大会(淑明女子大学、韓国)での日野による基調講演、第6回English as a Lingua Franca (ELF)国際大会(ローマトレ大学、イタリア)での日野と小田との共同発表、第19回International Association for World Englishes年次大会(アリゾナ州立大学、米国)での日野の発表及び小田の発表、玉川ELFセンター開設記念フォーラムでの日野による招待講演、日本「アジア英語」大会第32回全国大会での日野による招待発表などの実績がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本の大学教育において国際英語のオーセンティックな使用により国際英語を学ぶ参加型「国際英語」教授法のアプローチについて、方法論の分析が進展している。このテーマについて2014年3月に研究代表者(日野信行)が基調講演を行ったグリフィス大学(オーストラリア)でのシンポジウムは成功をおさめ、「国際英語」研究の世界的権威 Andy Kirkpatrick教授を中心に、本シンポジウムの論文集を出版することが計画されている。 「国際英語」教授法の実践において学習者の属する文化の価値観を考慮に入れるべきという考察も進展し、このテーマで2013年11月に日野がアリゾナ州立大学(米国)でのIAWE大会で行った発表は、米国における「国際英語」研究のパイオニアであるLarry E. Smith元IAWE会長らから高い評価を得た。2013年11月に韓国の淑明女子大学でのELLAK国際大会における「国際英語」教授法に関する日野の基調講演での高い評価を契機として、日野は、2015年4月に台湾の国立台湾大学で開催予定の2015LTTC国際大会に、「国際英語」研究の最高権威Jennifer Jenkins教授らとともに、全体講演者として招へいされている。 また、大阪大学での日野の参加型「国際英語」授業をELF論の視点から分析した論文(日野と連携研究者小田節子との共著)が、国際出版社De Gruyter Mouton の Current Perspectives on Pedagogy for English as a Lingua Franca という本に収録され、2014年に刊行予定である。米国ハワイでの参加型「国際英語」教育に関するフィールドワークの成果については、大阪大学の論集に日野の論文として発表した。また、伝統的な「英語母語国」とは異なるいわゆるOuter Circleの国で日本人が英語を学ぶことを参加型「国際英語」教育の観点から分析する研究も進展し、2013年度については、大阪大学の論集での小田による論文、及びIAWE大会での小田の発表等に結実している。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度から取り組んでいる企画、すなわち、大学における「英語による専門授業」(EMIクラス)を参加型「国際英語」(EIL)教育の観点から分析し、EMIクラスをEIL教育の機会として再定義してEIL教育の角度からの方法論を提示するための作業を継続する。具体的には、たとえば、新潟県立大学・大阪大学・金城学院大学などでのEMIクラスの授業観察、EMIクラスの教員・学生へのインタビューやアンケートなどである。 また、同じく参加型「国際英語」教育としての大阪大学での研究代表者(日野信行)の共通教育の英語授業(EFLクラス)及び大学院でのEMIクラスにおけるアクションリサーチを継続する。 その他、大学における参加型「国際英語」教授法について、たとえば中京大学での海外の大学とのテレビ会議による授業など、機会が得られる限り、授業観察やインタビュー等を実施する。 参加型「国際英語」教授法に関連する文献のレビュー、特に最近のELF(English as a Lingua Franca)論等の文献研究も継続する。 研究成果の発表としては、本年度内に関しては、日野について、たとえば、2014年9月に佐賀大学で開催される国際シンポジウム Native-Speakerism and Beyond での招待講演や、2014年6月に京都外国語大学で開催される日本「アジア英語」大会第34回全国大会でのシンポジウムでの招待発表が決定しており、またその他の学会における発表も申請中である。また「国際英語」教授法に関する論文執筆・章執筆の招待も受けている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入した学術誌バックナンバー(海外の出版社)の価格が当初想定したよりもやや低くなったために、1,065円の次年度使用額を生じた。 この1,065円は、「国際英語」教授法に関するフィールドワークに必要となる物品の購入に使用する計画である。
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Research Products
(9 results)