2012 Fiscal Year Research-status Report
タスクの繰り返しによるライティングの変化:複雑系理論アプローチからの長期的研究
Project/Area Number |
24520716
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
馬場 今日子 金城学院大学, 文学部, 准教授 (30454333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新多 了 名古屋学院大学, 外国語学部, 准教授 (00445933)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 第2言語教育における複雑系理論 |
Research Abstract |
本研究全体の目的は、これまでに申請者らが3年間行ってきた基礎的な研究(科学研究費補助金課題番号21520643、「タスクの繰り返しによるライティング発達への影響:テクスト分析を用いた長期的研究」平成21~23年度)を量的・質的に発展させ、より広範な理論的・方法論的示唆を得ることである。これまでの研究では、同様の英語力や学習環境に置かれた日本人英語学習者が同一のライティングタスク(時間制限付きライティング)を授業で毎週、1年間繰り返した場合、ライティングにどのような変化が起こるのかを複雑系理論のアプローチから探索的に調べた。本研究では、研究範囲を拡大し、個人およびクラスに普遍的な発達パタンが見られるのかを、より確証的に調べる。また、このアプローチからの新しい研究手法である、長期的混合型研究法(longitudinal mixed methods research)を洗練・確立させる。 平成24年度の主な研究成果は2つある。一点目は、研究計画に従い、対象となる学生の英語能力や専攻、人数を拡大しデータ収集を行ったことである。同時に、グループタスクを取り入れたり、学生を取り囲む環境ややる気についてアンケートを行うなど、収集するデータの種類も拡充した。二点目は、新しい長期的混合型研究法を提案したことである。前年度までに収集したデータに基づき、少人数の学生について作文の流暢さにおける相転移に焦点を絞って新しい研究手法を用いた研究を行い、論文にまとめた。この論文は世界的一流国際学術雑誌であるLanguage Learningに受理された。国内でも新しい研究方法に関心が集まっており、東京大学の「駒場言葉研究会」に招かれて講演を行うなど、活発に研究手法に関する提案を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では平成24年度にデータ収集の範囲と種類を拡大する予定であり、これは順調に遂行された。これと並行し、上記の通り新たな研究手法の開発にも着手できたので、本研究は概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は研究計画に従い、引き続きデータ収集を行いながら、収集したデータをデータベース化する。同時に、より多人数を対象とする研究手法を開発・提案したい。第2言語教育分野においては、複雑系アプローチによる研究は緒に就いたばかりであり、様々な研究手法の開発が急務だからである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
新たな研究手法を確立するためには他分野における動向をもっと調べる必要がある。我々は最近強調されているtransdisciplinary(学際性)というコンセプトを重視し、生物学や発達心理学などの関連他分野の文献研究をさらに進めたいと考えている。そこで、これまで比較的研究費を用いてこなかった書籍や学術雑誌の購入を増やす予定である。
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Research Products
(3 results)