2012 Fiscal Year Research-status Report
日韓の高学年児童における英語学習動機に影響を及ぼす要因
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24520721
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukuyama Heisei University |
Principal Investigator |
林原 慎 福山平成大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (10615602)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 英語学習動機 / 小学校教育 / 多母集団同時分析 / 国際情報交換 / 韓国 |
Research Abstract |
韓国の児童812名のデータ及び日本の児童809名のデータを収集することができた。分析には,主に多母集団同時分析,共分散構造分析,因子分析などの手法を用いた。分析の結果,日韓児童の英語学習動機について明らかにすることができ,日韓で共通する4因子,「有用性」,「内発的」,「不安回避」,「交流欲求」を見出した。また,日韓児童の英語学習動機の差異及び英語学習動機に影響を及ぼす要因についても詳細な分析を行うことができた。さらに,英語学習教材と英語学習動機となる好感度や理解度との関連について明らかにすることができた。加えて,多次元尺度構成法によって,各国の好感度を分析することにより,日韓児童の各国好感度の比較を行う研究の成果も得られた。この調査により,英語文化圏に属していいない日本と韓国の児童が,外国をどのように認識し,英語学習動機とどのような関連が見られるかを検討することができた。 日本と韓国の英語授業の参観からは,両国の小学校英語の差異は,デジタル教材の活用方法,教材の充実度,教員研修の充実度,ALTとの連携などがあることがわかった。総じて韓国の方が日本よりも格段に進んでいるといえる。参観した授業の比較では,児童の英語授業に対する関心・意欲・態度も韓国の方が日本よりもよく,韓国では,ALTと英語教師によって,すべて英語で授業を行うなど学習内容にも大きな差が見られた。 すでに論文として採択されたものは1編,条件付き採択で修正中のものが1編,投稿中の論文が2編,今後投稿予定の論文が2編準備されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画を進めるのに十分なデータを収集することができ,研究論文は計6編の論文を発表する予定である(一部は発表,投稿済み)。また,当初の研究計画には含まれていなかったが,アンケートの中に16カ国の好感度について問う項目を補足的に設定した。このデータを多次元尺度構成法で分析することにより,日韓児童の各国好感度の比較を行う研究の成果も得られた。この調査により,英語文化圏に属していない日本と韓国の児童が,外国をどのように認識し,英語学習動機とどのような関連が見られるかを検討することができた。 さらに,韓国を訪問し,アンケート配布・回収のお願いなどを研究協力を依頼した折,小学校の英語の授業を参観させていただく機会を得たほか,関係者から貴重な資料,助言,教材などを得ることができた。当初の研究計画では,複数回の訪問を予定していたが,1回の訪問で複数の用務を終えることができた。よって,これまでの研究に関しては,効率的に進めることができていると判断できる。 関係諸機関の協力を得て調査が順調に行えたこと,データに基づく分析と研究論文執筆の進度などから,全体として,当初の研究計画よりもかなり早く進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに投稿済みの論文に加えて,準備している論文の投稿を今年度中に行う予定である。また,国内での学会発表も行うことができるよう,現在,日程を調整している。 研究計画以上に進展していることから,今後,韓国や日本とは違うアジア諸国の内,もっとも英語が話されている国であるフィリピンの児童800名を調査する予定である。これにより,2国間で得た知見に加え,英語学習動機について,より多角的考察を加えることが可能となる。すでに,関係機関に質問紙の翻訳(タガログ語)及び配布・回収を依頼しており,現地で,適切な条件(都市部および農村部,学校規模,使用言語など)の小学校を選定し,配布・回収を行ってもらい,国際便にて郵送してもらうことを確認した。 さらに,今後,質的な研究を進めることによって,これまでの量的な研究だけでは解明できない学習者の英語学習動機に関する構造を全体的に明らかにしていく予定である。質的分析の手法としては,看護学,社会学,教育学などの分野で多用されているグラウンデッド・セオリー・アプローチを用いる予定である。同時に,国内の小学校での英語授業を観察,分析することで,最終的には日本の小学校英語教育に示唆を加えることのできる知見をまとめていきたいと考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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