2013 Fiscal Year Research-status Report
日韓の高学年児童における英語学習動機に影響を及ぼす要因
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24520721
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Research Institution | Fukuyama Heisei University |
Principal Investigator |
林原 慎 福山平成大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (10615602)
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Keywords | 英語学習動機 |
Research Abstract |
日本の小学校高学年児童812名、韓国の小学校高学年児童809人を対象として、それぞれの英語学習動機について因子分析を行った。結果、両国の児童とも同じ因子構造をしており、「有用性」、「内発的」、「交流欲求」、「不安回避」の4因子からなっていること等が明らかになった。日本の児童を対象とした研究では、「不安回避」で海外経験がない児童に比べて海外経験がある児童の方が有意に高かった。日本の男女別の比較では、「有用性」、「内発的」、「不安回避」の3因子で、女子の方が男子よりも有意に高い結果となった。日本の学年別の比較では、5年生の方が6年生よりも「内発的」と「不安回避」において有意に高い結果となった。さらに、日本では、学校要因が4つの因子全てに影響を及ぼしていることなどが共分散構造分析によって明らかになった。韓国の児童を対象とした研究では、4因子において海外経験のある群で海外経験のない群よりも有意に高い結果となった。また、韓国の男女別の比較では、「有用性」、「内発的」、「交流欲求」の3因子で女子の方が男子よりも有意に高くなっていた。韓国の学年別の比較では、「不安回避」の因子のみで6年生が5年生よりも有意に高い結果となった。さらに、韓国では、学校要因から「有用性」、「内発的」、「不安回避」へ影響を及ぼしていたことが示された。また、韓国では、家族・友人要因から「有用性」へ負の影響を及ぼしていた。 また、日本と韓国の小学校英語教材の比較では韓国の方で登場国数が多く、外国登場回数も多い傾向がみられた。日本の小学6年生408名、韓国の小学6年生435名の調査の結果、海外経験も韓国の児童の方が日本の児童よりも豊富であった。多母集団同時分析の結果から、「異文化興味」から「教科書理解」へのパスで韓国が日本よりも有意に高い結果を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
日韓別の英語学習動機に関する分析を行った論文のほか、韓国の英語教材と小学生の英語学習動機に関して分析した論文及び同内容のアンケートを使用して日韓比較を行うことができた。これまでに、査読有4本、査読無1本の計5本を発表した。さらに、日韓別の英語学習動機の比較を行い、投稿中である。また、日韓の英語学習動機に関する比較が予定より早く進んでいるため、英語を他教科の授業の中でも使用しているフィリピンの小学生を対象とした同内容のアンケートを実施し、すでにデータを入力済みである。この研究については,分析が終わり次第,学会にて発表をする予定である。初年度の研究が早く進んだため,計画以上のデータを収集することができ,全体的に当初の計画よりも進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
日韓の高学年児童における英語学習動機については、ほぼ、計画していた分析を終えており、まとめの段階に入っている。今後は、研究の奥行を深くするために3か国での比較を行う。日本や韓国とは違う社会環境にあるフィリピンでは、高学年児童が同じような英語学習動機を抱いているのか、また、その英語学習動機に影響を与える要因は何であるのかを、これまでの研究方法と同じ手法を用いて比較、分析していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
金額が1,000円未満となり,必要な書籍等の購入を諦めざるを得なかったため,次年度の助成金と合わせて購入することをした。 心理学関係の書籍を購入予定である。収集したデータを分析し,考察を加えるために必要な書籍の購入を予定している。
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Research Products
(5 results)