2013 Fiscal Year Research-status Report
イギリス地域史学研究-文書館・大学・歴史協会と地域史研究の相互関係
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24520723
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
石井 健 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (30303043)
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Keywords | 史料学 / アーカイブズ学 / イギリス史 / 地域史 |
Research Abstract |
本研究は、歴史研究における地域史研究の意義とさらなる可能性を模索するため、これまで行われてきた地域史叙述のあり方・地域史研究の方法論を史学史的かつ社会史的に再考することを目的とし、具体的には、イギリスにおける地域史研究のあり方・地域史叙述のあり方を、文書館、高等教育研究機関、歴史協会といった地域史研究・叙述を支える組織・施設・機関との関係史を通して考察することである。 本年度は、前年度の成果をふまえ、レスター大学イギリス地方史学科の創設者W・G・ホスキンスを初めとして、学科所属教員や学生が深く関わった地元レスタシアの歴史協会であるレスタシア考古学歴史学協会を取り上げ、その創設から現在にいたる活動内容の足跡をたどり、この機関が地域史研究・郷土史研究に果たした役割について調査し、考察した。 より具体的には、当該協会発行の会誌を一次史料として、19世紀中葉の創設期からの協会の活動内容を年度毎に整理し、また、当協会会員の個人データを可能な限り収集して、協会の社会階級・階層的・ジェンダー的特質、各会員の学会を通じた地域史研究・叙述への関与のあり方の解明に努めた。研究はなお途上ではあるが、現時点での成果については、従来の定説、すなわち、レスター学派登場以前のイギリスの地域史/地方史/郷土史研究・叙述はジェントリー/牧師階層の独占物だったと理解されてきた点に対して、一定の修正を示唆する諸事実が明らかになりつつある点が指摘できる。その意味で本年度の研究は十分に意義のある成果を得られるものであったといえよう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、地方における歴史研究の中心団体である歴史協会のなかから、前年度の研究対象であるレスター大学イギリス地方史学科と関わりの深いレスタシア考古学歴史学協会を取り上げ、その創成期から現代にいたる活動内容の歴史と協会の社会的特質を解明すべく、現地での史料調査を行い、併せて会員の個人データ収集とその分析/解釈を行った。その結果、従来の学説に一定の修正を示唆する諸事実が浮かび上がってきた。こうした点をふまえると、本年度の研究は研究目的に照らして十分な成果が得られたものと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も引き続き、歴史協会の活動内容とその社会的特徴を解明するため、現地での史料調査を中心に考察を進めるとともに、最終年度であることをふまえ、成果のまとめに努める。
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