2015 Fiscal Year Annual Research Report
図像資料・文献史料の総合化による古代東アジア音楽文化史の研究
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24520725
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
荻 美津夫 新潟大学, 人文社会・教育科学系, フェロー (80115013)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 石窟壁画 / 陶俑 / 浮彫り |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間中、中国・韓国における古代石窟、古墓壁画、あるいはそこから出土した陶俑等にあらわされている楽器や、舞踊・奏楽資料によって、古代東アジアの音楽文化を考察検討してきたが、平成27年度は、中国では寧夏回族自治区内諸地域と、山西省五台山内諸寺における図像音楽資料の探索調査を行った。成果として、まず寧夏回族自治区では、寧夏博物館収蔵北魏墓の棺側板漆画の伎楽天による舞踊、北周墓の壁画の侍女伎楽による2本の桴で打たれている筒形太鼓の形状などが、それぞれ舞踊の芸態や太鼓の形状を知ることができるものとして注目される。次に、固原博物館収蔵の緑釉陶扁には、ペルシア人の舞踊や奏楽が描かれており、当該期の歴史的状況を反映しているものの一つとして位置づけられよう。また、固原の須弥山石窟では円光寺の第45・46石窟の伎楽天による楽器群が新資料として注目される。そこに現わされている楽器群は、当該期の従来のものとかわらないが、45窟横笛奏者の容貌が古代ギリシアの横笛を奏している天子に類似しており、さらに、検討すべき課題として考えられる。さらに、五台山では、仏光寺に残された経幢に8人の奏楽者が浮き彫りとしてみられる。乾符4年(877)という年代が確認できる唐代後期の楽器群の資料として重要である。 韓国では、江原道の江陵市と束草市等で行った。江陵市郊外の月精寺・上院寺、束草市郊外の新興寺、襄陽市郊外の洛山寺での調査であったが、いずれも古代の遺物等はほとんど残存しておらず、唯一、上院寺の高麗時代の梵鐘の伎楽天による奏楽図が重要な資料であった。これは楽器資料としてすでに著明であるが、その梵鐘の実物によって確認できたことはおおきな成果であった。 以上のように、27年度は、中国・韓国のこれまで行ってこなかった地域での音楽資料の調査研究を行い、十分な成果を得たと考えている。
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Research Products
(1 results)