2013 Fiscal Year Research-status Report
戦後言説空間として敗北側における戦争解釈と追悼の国際比較研究
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24520726
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
M・G Sheftall 静岡大学, 情報学研究科, 教授 (90334953)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 明 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (00381145)
SAALER Sven 上智大学, 国際教養学部, 准教授 (70401205)
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Keywords | war memory / memorialization / defeat and war memory / war monuments / war graves / war museums / era of total war |
Research Abstract |
どんな文化の常に行っている一つの欠かせない「運営行事」として、その文化の現在そして将来の「所属者」のためにその文化の過去の経験と歴史を「物語る・解釈する」ことです。いうまでもなく、ほとんどどんな文化の経験・歴史の中では、「我々の先祖が戦った戦争」、または、もっと最近の出来事と言うと「我々の貴重な倅が命を落として戦ってきた戦争」の存在が著しく目立ちます。その凄まじい経験をどう物語ればよいですか?もちろん、どんな戦争の「勝ち側」の視点から見ても、そして「負け側」の視点から見ても、個人レベルでも集団・コミュニティーレベルから見ても、その「戦争」という凄まじい経験では数多くの愛する人々が命を亡くしたという「悲劇」な面があります。しかしながら、どちらかというと、そして色々な政治的や感情的な「都合」からみると、ある文化の重要で、忘れてはいけない経験」として「戦争」を物語るという行事では、もちろん「勝ち戦」が「負け戦」より「扱いやすい」もしくは「都合がいい」ことです。「勝ち側」が戦争という苦しくて、悲しくて、そして膨大な被害が含まれる経験の政治・心理・感情的な結果として、少なくても「我が文化は健在である…我が文化が正しいである」と言えるあるいみでは「余裕」が残ります。その国、その文化の「有り方」や「基本的な価値観」が芯まで揺らされて、疑問視されてしまうということがほとんどありません。しかし、「負け側」の場合はどうなるでしょうか? この研究は「近現代戦争における敗北側の記憶」を言説空間(discourse/discursive phenomenon)として追究プロジェクトです。このテーマに関して、私たちの研究チームが特に興味を持っているのは戦争関係の「記憶施設・装備」、ようするに、公共空間に設置している戦争史を「物語る」戦争記念碑、戦没者の墓地、そして博物館の展示です。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
このプロジェクトとして、H25年度のもっとも大きなできごとは私が「スペイン内戦の記憶」を本プロジェクトの研究対象に加えること。昨年3月に、別の研究プロジェクトのきっかけで、私はスペイン内戦の戦争記念設備を巡る研究旅に参加して、現在のスペインでも80年も前に終わった内戦を解釈言説空間がこんなに対立していることを知って、本プロジェクトがすでに扱っている米国南北戦争、ヨーロッパと日本の世界大戦の記憶経験のいい比較対象になるだろうと思った。それに従って、私はH25年度の旅費予算を2週間のスペイン研究旅で使いました。事前にいろいろのスペイン国内のスペイン内戦記憶関係者とコンタクトをとり、非常に充実している研究旅ができて、主にマドリッド地方をスペイン北部(バスク地方を含めて)数多くの内戦記憶設備を観察することができて、またはこれからでも研究で活かせるスペイン国内の内戦記憶関係者のコミュニティーで貴重な人脈もできた。 これで本研究にスペイン内戦記憶言説空間を加えることによって、私が開発している「敗戦解釈言説空間モデル」をさらに正確のものにして、さらにいろいろな敗戦を経験する文化・コミュニティーのケースに対応するものにできると思う。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の今までの2年間の主力エフォートはヨーロッパで「具体例の取材」、ようするに、フィールドワークで尽くしている。しかしこれから入る「ホームストレッチ」のメーン・エフォートは次の二つにしたい:まず、まだ「宿題」としてのこっているアメリカ南部での取材をいよいよ片付ける;そして、海外での研究発表もしたい。最近、日本国内の「大戦解釈言説空間」においていろいろな論争がふたたび湧いてきて(靖国問題、慰安婦問題、特攻隊の遺書をUNESCOに申請するなどの話題)、海外からの注目に浴びられている状態だ。この傾向により、私のところにも海外の研究者または報道陣からのたずねが多く、私はこれで自分の現在やっている研究がただに「タイムリー」だけではなくて、「戦争記憶・解釈」の話題において国際理解に具体的な貢献ができるではないかと思う。それに従って、最近イギリスのシェフィールド大学の日本史を研究しているPeter Matanle博士の私への「ぜひ、シェフィールドとその他のいくつかのイギリス大学で日本の戦争記憶・解釈言説空間についてのレクチャーをしてください」という招待に応じて、冬頃に一週間程度の研究発表旅をすることを検討している。 そして最後に、もと長期的に言うと、そろそろ本研究のフィールドワークにより集めた数多くのデータの「分類作業」に入り、本研究の最終目的として「戦争記憶・解釈言説空間モデル」についての長文を制作する準備に入りたいと思う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
スペインでのフィールドワークの旅が事前に推測するよりも旅費が安かったため。 夏ごろにアメリカに渡り、南北戦争関係のフィールドワークで使いたい。また、冬頃に、上記に述べている数箇所のイギリスの大学での研究結果発表のための旅費にも使う。
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Research Products
(2 results)