2012 Fiscal Year Research-status Report
東アジアにおける航海信仰の伝播・融合・転生―16~19世紀の媽祖系信仰を中心に
Project/Area Number |
24520731
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tenri University |
Principal Investigator |
藤田 明良 天理大学, 国際学部, 教授 (50309514)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 航海信仰 / 媽祖 / 天妃 / 船玉 / 国際情報交換 台湾 / 東アジア海域 / 文化交渉 |
Research Abstract |
本研究は、これまで取り組んできた媽祖(天妃) 信仰をはじめとする東アジアの航海信仰史研究を体系化する準備として、さらなる関係資料の収集と現地調査を実施し、事例の整理と検証を進めながら、中間報告的な成果公表を行うものである。本年度の研究実績は次の通り。 (1)国内調査:①これまでの調査資料のうち天理大学所蔵の天妃経を素材に中国明初におけるローカル信仰と仏教・道教との融合過程を検証するため、東洋文庫と国会図書館で追加調査を実施した。②新たに所在情報が入った鹿嶋市の天妃神社をはじめ、茨城と宮城の天妃信仰関連地の再調査を行い、天妃社発給の航海守護札の実物等の新資料を収集した。③「福建博物院展」開催中の長崎歴史文化博物館にて資料調査と関係者との情報交換を行う。④鹿児島で天妃宮跡の現地調査と資料収集を実施した。八重山諸島で現地調査と資料収集を行い、航海祈願に特化した帆船絵馬を掲げる御嶽や、福建省との交流を背景に持つ伝承等を確認した。 (2)海外調査:台湾台南市で創建由緒が17世紀に遡る媽祖廟の調査と、特別展「17世紀大員港市」開催中の鄭成功文物館と2011年に開館した国立台湾歴史博物館で資料収集を行い、成功大学や国立台湾歴史博物館の研究者と研究情報共有や研究交流に向けた会談を持った。 (3)研究集会等参加と成果公表:①台北で開催された研究集会で(1)①の調査研究成果を発表した。②台湾嘉義で開催された研究集会で(1)②の調査成果の一部を公表した。③東京大学東洋文化研究所で開催された研究集会で日本の媽祖言説に影響を与えたオランダ船普陀山襲撃事件に関する研究発表を行った。④共同執筆者として航海信仰や文化交渉に関する叙述を担当した『海から見た歴史』が刊行された。⑤『福建博物院展図録』に媽祖信仰について執筆した。⑥航海信仰の章を分担執筆した『海域アジア史研究入門』の韓国語版が刊行された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)国内調査:本年度実施予定だった北陸・瀬戸内の調査を延期し、次年度実施予定の関東と沖縄を本年度実施した。関東を本年度にした理由は、実績でも触れた新しい所在情報によるものであり、宮城を含む関連の現地調査で新資料の確認という成果をあげることができた。沖縄は福建との関係が深いので、延期した福建調査の代替として次年度から今年度に変更した。今回はこれまで未調査であった八重山諸島を中心に調査したが、天候による船の運休で調査できない島も残った。九州調査も福建調査の代替として当初の予定地を長崎と鹿児島に変更した。 (2)海外調査:申請時の実施計画では、中国の福建省・浙江省沿岸での調査を予定していたが、「福建博物院展」関係者との情報交換によって、本年度は実施しても良い成果が見込めないことが予想されたため、次年度予定していた台湾調査と計画を入れ換えた。台湾を選んだ理由は、東アジアの有力港市であった大員(台南市安平)の歴史に関する特別展が開催中であることと、本年度も2回の招待講演に訪れるなど、現地の研究者とのネットワークを構築が進行できつつあったことである。この調査では、台湾における航海信仰の伝播や転生に関する有益な資料収集と共に、台湾第二の総合大学であると成功大学の人文学院歴史系や、17世紀以降の貴重な史料を数多く有する国立台湾歴史博物館の研究者との協力関係の礎を築くことができた。 (3)研究集会等参加と成果公表:本研究関連の国内外の5つの研究集会に出席し、うち3つで学会発表(2つは海外研究集会での招待講演)を行うことができた。さらに、本研究と深い関連のある図書3冊(何れも分担執筆)を刊行することができた。学術刊行物への年度内の論文掲載は実現しなかったが、3回の発表はすべて原稿化が終わっており、1本は台湾の学術雑誌で審査中、2本は論文集が次年度に刊行である予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)国内調査:当初計画で次年度予定している東北日本海側(山形・秋田・青森)に、本年度予定していた北陸(福井・石川・富山・新潟)を合わせて行う。九州についても次年度予定分と本年度の延期分を合わせて行う。但しどちらも状況によっては複数次に分割して行うこともある。本年度に調査した茨城・宮城・沖縄について次年度も再調査の必要がある場合は最低限の調査を行う。旅費がかさむ場合は、他の調査地を延期もしくは削減したり、安いチケットやLCCなどを活用したりするなどして経費節約を図る。 (2)海外調査:当初計画では中国山東・遼東沿岸と台湾を予定していた。このうち中国については慎重に諸状況を見極め調査の是非を判断したい。本年度見送った福建・浙江調査の実施についても同様である。台湾現地調査は本年度すでに実施したが、研究交流や特別展等で渡航の必要性があれば今年度も実施する。中国調査を実施しない場合は代りに国内調査等を充実させるため、予定の海外旅費を国内旅費に変更する場合もある。逆に中国の二カ所と台湾の双方を実施する場合は、LCCの活用など経費を節減に努める。 (3)研究集会等参加と成果公表:本年度、内外の研究集会でおこなった3本の研究発表を、雑誌論文や図書等の学術刊行物で刊行して公表する。また、その後の現地調査や資料収集の成果を、東京や九州などで開催される関連の研究集会で発表し、論文や図書としての刊行に備える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし。
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