2014 Fiscal Year Research-status Report
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24520744
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
荒川 章二 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (30202732)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 軍都 / 東京 / 近衛師団 / 第一師団 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の研究目標は、①中間成果のまとめと公表、②陸軍省大日記関係の調査継続、③各県文書館などの兵事関係資料調査、④東京関係の地方紙の検索の4点であった。①は最大目標であったが、昨年度に実施した防衛研究所図書館所蔵千代田史料等を活用して、荒川章二編著『地域の中の軍隊 第2巻 関東 帝都としての軍都』(吉川弘文館、2015年2月)を刊行し、同書中の論考「首都の軍隊の形成」(pp.16-54)において、明治初年から明治半ばまでの首都の軍隊の形成過程、その特質を明らかにした。また、同編書は、戦前期関東地区の総合的な軍隊史共同研究として取り組まれたものであるが、同書の総括的な序論「プロローグ 皇居防衛から帝都の護りへ」(pp.1-13)において、共同研究の成果を紹介しつつ、帝都東京を囲む地域としての関東地区の軍隊の歴史的特質につき概略的見通しを提示した。 ②の目標では、部隊編制に関わる基本的な条例、令、達、団隊表などの変遷を資料的に追跡した、したがって、防衛省旧軍資料だけでなく、公文書館所蔵軍事関係文書もデジタルアーカイブズを通じて多く収集した。なお、資料の収集面では東京の徴兵の特質を長期的に明らかにするために、陸軍省年報、帝国統計年鑑、徴兵事務摘要等の基本資料の収集をぼほ完了した。 ③の公文書館調査と④の地方新聞調査は、当初より次年度までの継続課題として設定していたが、実際の所、平成26年度はほとんど実施できず、東京・神奈川を中心とする自治体史の確認に留まった。平成27年度への継続課題としたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べたように、明治・大正期を中心とする帝都の軍隊の変遷と特質を明らかにする本研究において、さしあたり明治前半期までの部分を中間的にまとめ、約40ページの論考として発表し、その後の時代への展望も概略的に示した。また、概要には記載していないが、陸軍部隊の編制に関する戦前期を通じた変遷についても論考をまとめた。平成27年度前半期に公表される予定である。この論考は、本科学研究費の課題との関係では、東京・関東の部隊の特質を解明するための基礎作業となる。また、これも概要には記載していないが、平成26年度中に、別経費で対馬と沖縄調査をおこなっており、要塞・砲台防衛に改めて注目する機会となり、本研究との関係では、東京湾防衛体制が改めて重要な課題として浮かび上がった。全体として当初目標に対し課題は残したが、概ね順調な展開だったと総括したい。
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Strategy for Future Research Activity |
前半期(10月頃まで)に残った資料調査や先に記載した継続課題としての資料調査をおこなう。調査対象は、①大正期の「陸軍省大日記」関係の検索と収集、②東京都公文書館を中心とする首都圏内各県公文書館での兵事関係資料調査(明治~大正全時期)、③明治大正期の首都圏地域兵事関係新聞記事の検索である。復興版等があり検索が比較的容易なものを中心に行う。 年度後半より収集資料の総合的な整理を行い、年明けから、本年度発表した論考を前提として、総括的なまとめを行う。平成28年度中に成果として公表(刊行)することを目指す。
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Causes of Carryover |
購入予定の古書物件の一部が既に他所に売買されていたため、若干の未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計画提出時の当初計画では、浜松からの調査を前提としており(2年目に千葉県に移動)、物品費15万円、旅費25万円、その他(資料複写費等)30万円としたが(計70万円)、調査地域が至近となったこと(ただし、最終年度に付き研究発表での首都圏外への出張を予定)、デジタル写真撮影により複写費用が減額できる見通しに付き、使用内訳を、物品費を35万円(主として文献や地図の購入)、旅費を20万円,その他を15万円と変更する。前年度未使用額4万円余は物品費に加算する。
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] 帝都の軍隊2014
Author(s)
荒川章二
Organizer
国立歴史民俗博物館第366回講演会
Place of Presentation
国立歴史民俗博物館講堂
Year and Date
2014-06-14
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