2012 Fiscal Year Research-status Report
20世紀前期の帝国日本における実学実践と教養主義をめぐる文化研究
Project/Area Number |
24520746
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
阿部 安成 滋賀大学, 経済学部, 教授 (10272775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 利奈 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (00402701)
長 志珠絵 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (30271399)
杉 岳志 一橋大学, 附属図書館, 助手 (40456306)
江竜 美子 滋賀大学, 経済学部, 助手 (50242970)
坂野 鉄也 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (90514620)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 高等商業学校 / 帝国日本 / 実学教育 |
Research Abstract |
今年度は一橋大学附属図書館、神戸大学附属図書館大学文書史料室、長崎大学経済学部東南アジア研究所・同大学附属図書館経済学部分館、長崎県立長崎図書館で史料調査をおこなうとともに、一橋大学附属図書館主催2012年度企画展示「旅する高商生-明治・大正期の修学旅行報告書」の開催に関与し、2012年度「旧植民地関係資料ワークショップ/高商studies」を共催するなどした。 史料調査をとおして、(1)神戸高等商業学校で実施された第二外国語教育について明らかにし、(2)東京高等商業学校の修学旅行とその報告書を考察し、(3)長崎高等商業学校が実施した夜学講習の講義録目録と、同校生徒が執筆した卒業論文目録を作成した。長崎高等商業学校の夜学講習をめぐっては、高等商業学校が男子の学ぶ場だったなかで、その夜 学講習には女子も通学したことを明らかにした。(4)また、長崎のばあい、県史や市史といった自治体史における長崎高等商業学校の記述や関係史料の掲載がほとんどなく、それをおぎなうためにも、地元新聞における長崎高等商業学校関係記事の検索は必須の作業となり、それをおこなった。 一橋大学附属図書館主催の企画展示をとおして、これまでおこなわれることが少なかった高等商業学校史料を展示し、あわせて高等商業学校生徒執筆による報告書の重要性を発信した。また付帯事業としての講演会においては、高等商業学校の海外修学旅行をとりあげるとともに、高等商業学校研究の論点を提示した。 長崎大学経済学部を会場として開催したワークショップでは、高等商業学校を考察するときの主題として、(1)夜学講習の実施、(2)広告をめぐる講義や研究会、(3)帝国日本の植民地に設置された高等商業学校、があることを確認し、それぞれの方向性、論点、展望について議論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)高等商業学校における教育と調査を大枠の課題として、教育については、(a)語学教育、(b)夜学教育にかかわる史料の整備と研究上の論点提示をおこない、調査については、(c)生徒が執筆した報告書や卒業論文の整備と目録作成をおこない、あわせてそれらをめぐる研究上の論点を提示した。 (2)講演会(2012年11月)、ワークショップ(2012年9月、同年12月)の開催をとおして、研究者間での議論を深め、また一般の人びとへの史料展示や情報発信もおこなった。 (3)調査研究活動の成果としてのペーパーをWEBをとおして広く発信した(参照http://mokuroku.biwako.shiga-u.ac.jp/WP/index.htm)。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き高等商業学校史料の調査と整備を進めつつ、それらをふまえた高等商業学校研究の論点と方向性を提示してゆく。 3年計画の研究実施の中間点としての暫定総括おこない、これまでの調査研究のまとめを試みる。そのための研究交流の機会となるワークショップを開催する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国内の高等商業学校史料の調査と整備を進めるとともに、海外調査を実施する。平成24年度は国際情勢、研究代表者・分担者のそれぞれの学内校務等のつごうにより実施できなかった海外調査をおこない、高等商業学校研究のフィールドを広げる。
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Research Products
(7 results)