2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24520747
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村田 路人 大阪大学, 文学研究科, 教授 (40144414)
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Keywords | 享保改革 / 堤外地政策 / 開発 / 治水 / 幕藩関係 |
Research Abstract |
平成25年度は、課題に関わる論文を発表することはできなかったが、共編著書である『大阪狭山市史 第一巻 本文編通史』(大阪狭山市役所、2014年3月)を刊行し、課題に関わる研究成果を発表した。すなわち、同書の村田執筆部分のうち、第四章「近世の狭山」第一節「所領と支配」において、大阪狭山市域の近世における堤外地政策の実態を紹介した。具体的には、享保3年(1718)の幕府の堤外地政策の転換に伴い、大坂町奉行が実施した堤外地利用の現状調査の具体例を紹介した。これは、交付申請書の「研究目的」に記載した、「開発政策と治水政策を有機的に関連させて分析し、両者の関係を解明する」の具体化作業である。同年の堤外地利用の現状調査については、まだあまり知られていないため、その意義は小さくない。 また、同書においては、第四章「近世の狭山」第三節「近世の狭山池」の一部も執筆した。ここでは、享保6年(1721)における狭山池の幕府から狭山藩(河内国丹南郡池尻村に陣屋がある)への移管問題についても検討した。これは、代々狭山池の用水管理を担当していた池守の田中家に残された、移管をめぐる狭山藩と幕府の交渉過程に関する史料を用いたもので、交付申請書の「研究目的」に記載した「享保改革期の開発・治水政策を、当該期の幕府政治史と関連づける」の具体化作業である。この研究成果は、享保改革期の開発・治水政策を当該期の幕藩関係の変化と結びつけた点のみならず、幕府政治史研究は、幕府や藩で作成された史料だけでなく、地方(じかた)文書からも明らかにできる部分があることを示した点でも意義がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度は、課題に関わる論文を発表する予定であったが、自治体史の刊行にとどまった。その理由としては、史料収集作業が予定よりも遅れたこと、課題以外の研究テーマについての研究に多くの時間をとられたことにある。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通りの計画を進めていく。すなわち、享保改革期の開発と治水に関わる史料の収集・分析に努め、論文化を図る。具体的には、幕府治水政策の画期となった享保7年(1722)以降の堤外地政策の変化と、実際にその政策が各地域にどのような影響を及ぼしたのかについて考察し、論文にする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
この事業は平成26年度で終了するが、同年度配分額は40万円(直接経費)である。最終年度も史料収集等で経費がかかると予想されるため、あえて一定額を残し、翌年度分とした。 史料収集のための旅費や写真撮影代等として使用する。
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Research Products
(3 results)
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[Book] 日本史B2014
Author(s)
脇田修・大山喬平他
Total Pages
60頁(総頁383頁のうち村田執筆部分)
Publisher
実教出版
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