2012 Fiscal Year Research-status Report
日本近代コスメトロジー(化粧学)の展開と女性の衛生~美容家藤波芙蓉の事跡を中心に
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24520750
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
鈴木 則子 奈良女子大学, 生活環境科学系, 准教授 (20335475)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 冬彦 京都大学, 文学研究科, 教授 (70166883)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 藤波芙蓉 / コスメトロジー / 衛生 / 美容 / 化粧品 / 婦人宣教師 / 都新聞 |
Research Abstract |
今年度は、藤波芙蓉が美容家として立つまでのキャリア形成過程と、美容家としての初期の活動実態を明らかにするために、国会図書館を中心に以下の7点について資料調査・収集を行った。1,少年時代の芙蓉に西洋生活文化と外国語を教えた、「ブラウン嬢」と芙蓉が記している仙台の明治20年代キリスト教女性宣教師に関する調査。2,芙蓉の学問的土台を検証するための、母校第二高等中学校関係の教育資料収集。3,上京後籍を置いた『都新聞』の美容記事収集。4、『東京市養育院月報』の芙蓉の署名入り記事収集。5,芙蓉が美容家として活動を開始した初期に執筆した美容記事収集。対象は主として『婦人画報』『女子文壇』『処女』。6,芙蓉の業績の位置づけを検討するため、明治40年代から大正前期に活躍した美容家(主として北原十三男)による雑誌美容記事の収集。7,明治・大正期に描かれた美人画に関する資料収集。 上記の調査によって、「ブラウン嬢」なる人物がハリエット・M・ブラウンであり、西部・婦人バプテスト外国伝道教会宣教師として1886年12月10日塩釜港へ、翌日仙台入りしていることを突き止めた。これを手がかりに、当時の婦人宣教師の仙台における布教・教育活動を精査し、彼女と第二高等中学校生徒達との関係も明らかに出来た。 また、『都新聞』記者時代に「相談の相談」欄担当であったこと、この時期の美容記事は他の記者が担当したが、後の芙蓉の美容活動と類似するスタンスの記事であることを明らかにした。 『東京市養育院月報』では、後の渋沢栄一との関係、福祉問題との関わり、小説家としての活動の実態を明らかにした。 婦人雑誌記事の収集から、明治末年に次々に刊行された婦人雑誌というメディアのなかで、美容家が競合する時代が到来していることを明らかにした。 なお、研究分担者分の遊女風俗研究は近代遊女の生活に関する史料分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時における平成24年度の研究計画は 1,『婦人画報』(明治・大正期分)の藤波連載記事分析 2,『女子文壇』の藤波連載記事分析 3,仙台現地調査 4,藤波と同時代の国内美容書・美容記事の収集・分析 の4点であったが、仙台の現地調査以外は全て予定通り進行した。仙台関係の資料については、現地入りする以前の事前調査段階で多くの資料を入手できたため、その分析に時間を取られたためである。
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Strategy for Future Research Activity |
2012年度に引き続き芙蓉の美容家としてのキャリア形成過程を明確にするために、出身地仙台の現地調査を行う。また、芙蓉の美容家としての活動実態を昭和期まで含めて明らかにするために、執筆記事とその関連資料の収集を継続する。 また、研究分担者分の研究は、近世・近代に於いて女性風俗の1つのモデルとされた遊女風俗について、近代を中心に史料収集を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(5 results)