2013 Fiscal Year Research-status Report
日本近代コスメトロジー(化粧学)の展開と女性の衛生~美容家藤波芙蓉の事跡を中心に
Project/Area Number |
24520750
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
鈴木 則子 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (20335475)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 冬彦 京都大学, 文学研究科, 教授 (70166883)
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Keywords | コスメトロジー / 藤波芙蓉 |
Research Abstract |
申請時の予想を遙かに超えて、化粧家として立つ以前の芙蓉の活動は多彩であり、著作も数多く残っていることがわかってきた。そのため、25年度は化粧家としての活動よりも、それ以前の活動に比重を置いた調査研究となった。 その成果は「近代コスメトロジーの普及と展開をめぐる一考察~美容家・藤波芙蓉の分析を通じて」(『 コスメトロジー研究報告』21号、2013年9月)、「近代日本における化粧研究家の誕生―藤波芙蓉の事跡をめぐって」(武田佐知子編『交錯する知 衣装・信仰・女性』所収、思文閣出版、2014年3月)の二本の論文を通じて公開した。 これらの論文の中で藤波芙蓉が仙台の第二高等中学校出身であることや、このころ米国人女性宣教師を通じて西洋式化粧法についての知識を習得したこと、その後上京して尾崎紅葉の弟子となり、作家として文壇デビューしたこと、新聞記者としての活躍、社会福祉問題との関わりなどを明らかにしえた。こういった様々な活動のなかで、芙蓉が当時の政財界やアカデミズム、さらに皇族とも繋がりを形成していった様子も明らかになった。その人脈は、のちの芙蓉の西洋式化粧法普及活動に対する主たる支持層とも重なって行く。化粧の近代化の推進には、国際社会の中で近代国家として承認されるために女性風俗を改良するという、当時の国家的課題が大きく関わっていたことが浮かび上がってきた。 またイギリスにおいて、19世紀から20世紀にかけての女性風俗に関する資料収集を行った。 いっぽう、近代の状況との比較のために、研究分担者によって近世の女性が置かれた地位と衛生環境に関する問題について考察が進められた。これらについても論文と学会報告の形で成果が公表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に掲げた研究課題は、藤波芙蓉の活動の全体像の確定、出自と学問的背景の調査、著作物全般の収集と分析、芙蓉の化粧品製造・販売業の実態調査、映画産業への関与の調査、国外の化粧事情との比較、奈良女子高等師範学校蔵書調査の7項目である。 このうち、芙蓉の活動の全体像の確定と、出自等に関する調査、著作物収集、奈良女子高等師範学校蔵書調査の成果については、25年度、「9、研究実績の概要」に記した二本の論文にまとめた。
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Strategy for Future Research Activity |
・東北大学所蔵史料調査を行い、藤波芙蓉が仙台で受けた教育についてさらに詳細に明らかにする。 ・当該時期におけるフランスの女性風俗に関する現地資料調査を行い、藤波芙蓉が発信した化粧情報の質について明らかにする。 ・芙蓉が執筆した婦人画報連載記事の分析を行い、芙蓉が中流の女性たちに与えた影響、特に衛生意識に与えた影響について考察する。 ・研究分担者による、近世の衛生環境及び女性風俗に関する研究結果との比較考察を行う。
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Research Products
(6 results)
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[Book] 『歴史における周縁と共生 女性・穢れ・衛生』2014
Author(s)
鈴木則子、平雅行、宮崎ふみ子、武藤康弘、武田佐知子、加藤美恵子、濱千代早由美、三枝暁子、白杉悦雄、瀧澤利行、尾鍋智子、梶谷真司、林葉子、池川玲子
Total Pages
359(3-10,218-243,358-359)
Publisher
思文閣出版
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