2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24520753
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
布川 弘 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (30294474)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 占領 / 復興 / オーストラリア |
Research Abstract |
本年度は、以下の研究業績を発表した。 ①雑誌論文:Hiroshi Nunokawa, Defeat and ‘the City of the Dead’, Cultural Interaction Studies of Sea Port Cities, No.7, October, 2012, pp.45-62、②学会発表;Hiroshi Nunokawa, The ‘Atomic Plague’ and the Low-dose Radiation Exposure, The Sixth Conference for the Asian Society for the History of Medicine, 13-15 December 2012, Keio University (Hiyoshi Campus)、③分担執筆;布川弘「広島における『平和』理念の形成と『平和利用』の是認」、加藤哲郎・井川充雄編『原子力と冷戦―日本とアジアの原発導入』、花伝社、2013年3月、pp.109-128 これらの研究業績によって、広島の占領と復興に関して、限られた視点からではあるが、オーストラリアの諸機関が所蔵する史料を用い、復興の諸条件と諸主体のあり方について、概略をスケッチすることができた
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ベルギーのゲント大学における国際海洋史学会大会に参加し、広島とその周辺の戦後復興について、海洋史研究が培ってきた、幅広い多様な視点を学ぶことができた。 また、上記の研究実績で示した諸業績を発表する中で、広島の占領と復興に関して、限られた視点からではあるが、オーストラリアの諸機関が所蔵する史料を用い、復興の諸条件と諸主体のあり方について、概略をスケッチすることができた。とりわけ、従来把握されていた以上に、被爆の状況が複雑であり、様々な困難に直面しつつ、占領軍とともに、住民が独自の理解に基づきながら復興に立ち向かったことがあきらかになった。 被爆については、帝国陸海軍とその後アメリカのABCCを中心に綿密な調査が行われており、従来公表されてこなかったデータを見つけることができた。また、そうした研究機関による調査とは全く異なる次元で、民衆が地域の文化的な環境に影響されて、独自な把握の仕方を生み出し、生活レベルの復興に取り組んでいた事があきらかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、被爆について、帝国陸海軍とその後アメリカのABCCを中心に綿密な調査が行われており、従来公表されてこなかったデータを見つけることができた。また、そうした研究機関による調査とは全く異なる次元で、民衆が地域の文化的な環境に影響されて、独自な把握の仕方を生み出し、生活レベルの復興に取り組んでいた事があきらかになった。 そうした成果を継承し、次年度は国立国会図書館での調査やオーストラリアでの調査に基づいて、研究機関の被爆調査をより詳細に明らかにしたい。また、今年度末のオーストラリア調査では、復興で直面した問題について、幸いまとまった史料を得ることができ、日本で公開されていない文献を読むことができた。その分析を進めながら、さらいオーストラリア調査は今年度も継続し、その周辺の史料を調査・蒐集していきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は国立国会図書館での調査やオーストラリアでの調査に基づいて、研究機関の被爆調査をより詳細に明らかにしたい。また、今年度末のオーストラリア調査では、復興で直面した問題について、幸いまとまった史料を得ることができ、日本で公開されていない文献を読むことができた。その分析を進めながら、さらいオーストラリア調査は今年度も継続し、その周辺の史料を調査・蒐集していきたい。そのため、オーストラリア調査などに使用する海外調査旅費、国立国会図書館調査などに使用する国内調査旅費といった旅費の使用が、主な研究費の使用になる。
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[Book] 花伝社2013
Author(s)
加藤哲郎・井川充雄編
Total Pages
269
Publisher
原子力と冷戦―日本とアジアの原発導入