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2016 Fiscal Year Research-status Report

帝国議会貴族院議員の政治的基盤に関する研究

Research Project

Project/Area Number 24520769
Research InstitutionAoyama Gakuin University

Principal Investigator

小林 和幸  青山学院大学, 文学部, 教授 (00211904)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2018-03-31
Keywords貴族院内政治会派 / 国民主義 / 多額納税者議員 / 谷干城 / 曾我祐準 / 陸羯南 / 近衛篤麿
Outline of Annual Research Achievements

今年度は、昨年度に引き続き、当該課題の進展のため、多額納税者議員の史料調査を行うと共に、今までの研究を踏まえた成果として論文と著書を刊行した。論文としては「『天皇機関説』排撃問題と貴族院」(小林和幸編『近現代日本選択の瞬間』所収)を発表した。本論文では、美濃部達吉の「天皇機関説」排撃での貴族院内会派の動向を検討した。本論文は、前史としての第六五議会における機関説批判の背景について明らかにした上で、貴族院が可決した「政教刷新ニ関スル建議案」の歴史的な意義を考察した。この建議案の可決は、各派幹部が問題の沈静化に努力し、排撃強硬派が出そうとした反機関説の建議案を断念させた上で行われたもので、強硬な意見の穏健化に成功したと言えるが、一方で穏健派も、院内強硬派の美濃部批判、世論中の排撃論の高まりや衆議院での論議の影響を受け、建議案の文言について強硬派に譲歩せざるを得なかったことを明らかにした。また、貴族院議員の見解にはその議員各自の政治的な背景(基盤)が影響していること、建議案可決には、議会政治否認に至る奔流を沈静化しそれによって政治的に貴族院の議会主義を守るという意識があったこと指摘した。
また『国民主義の時代』(角川選書)を刊行して、明治期における立憲政治の確立を目指す政治勢力の中に、「国民主義」のグループの存在を見いだし、彼らが日本の立憲政治発展に寄与したことを明らかにした。そのクループ中で中心的役割を担った貴族院議員の谷干城や曾我祐準、近衛篤麿といった人物の政治的な思想や行動ならびに彼らを中心に結集する陸羯南らのジャーナリストや宗教家、思想家などの政治的な行動を明らかにした。
また香川県の多額納税者議員鎌田勝太郎の史料目録化を進めた。さらに昨年整理した「花房﨑太郎関係文書」中の貴族院会派関係史料を紹介した(『法律時報』通巻1111号、扉)。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究は、貴族院議員の政治的な基盤が、その政治的活動にどのように影響を与えたのかを考察することを目的としているが、貴族院の経歴や所属団体による政治的基盤が端的に議会での行動に反映された点を指摘した研究成果として「『天皇機関説』排撃問題と貴族院」を得ることが出来た。
また明治初年の立憲政治施行に至る過程の中に「国民主義」の思想的な萌芽を見出し、それが、貴族院内に一つの政治勢力をつくる基盤となったこと、そうした貴族院内の勢力は、議員外のジャーナリストや宗教家など異なった立場の人々と連携して政治的な課題に取り組んだことを指摘する研究成果を得ることが出来た。
また、貴族院多額納税者議員鎌田勝太郎の史料調査ならびに目録化の作業は、上記の研究成果に反映させることが出来ただけでなく、今後の貴族院研究の進展に寄与することになると考えられる。
以上の理由により、研究課題は、順調に進展しているといえる。

Strategy for Future Research Activity

現在まで、研究は順調に推移しているので、これまでの方策にしたがって研究を進める。特に、史料調査を継続している「鎌田勝太郎関係文書」中に、伝記関係の史料を見出したのでさらに調査を進め、研究の進展をはかる。また貴族院議員の政治的基盤を検討しているなかで、帝国議会開設後に著しく増加していく男爵議員に注目することで、貴族院の構造変化を探っていく。こうした研究や、本研究課題によって推進したこれまでの研究実績をあわせて研究成果として公表していく予定である。

Causes of Carryover

謝金による研究協力を得て、研究を推進する予定があったが、謝金による研究協力を要しないで、研究を遂行することができたため。また、特に史料の収集を複写によらず撮影で行うことにより、複写費の節約が可能となったため。

Expenditure Plan for Carryover Budget

史料調査のため香川県などへの出張旅費に使用して、研究の推進を図る。また史料整理のための備品、研究課題関連資料の収集費などのために使用する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2017 2016

All Book (2 results)

  • [Book] 『国民主義の時代―明治日本を支えた人々』2017

    • Author(s)
      小林和幸
    • Total Pages
      263
    • Publisher
      KADOKAWA
  • [Book] 『近現代日本 選択の瞬間』2016

    • Author(s)
      小林和幸 編著
    • Total Pages
      294
    • Publisher
      有志舎

URL: 

Published: 2018-01-16  

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