2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24520774
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
服部 一隆 明治大学, 文学部, その他 (20440175)
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Keywords | 日本史 / 律令 / 大宝令 / 天聖令 / 唐令 |
Research Abstract |
本研究では、天聖令を使用した日唐令比較によって、現在失われた大宝令の独自性を検討する。そのために、(1)唐令復原の関連史料および天聖令・大宝令復原に関する文献を収集して条文ごとにデータベース化する、(2)日本における独自規定に関する7世紀から8世紀までの単行法令および一次史料(出土文字資料・古文書)を収集・データ化する、(3)日唐令比較を実施して大宝令の独自部分を明らかにする、(4)天聖令残存部分について田令・賦役令を中心とした大宝令の独自性を明らかにし、その変遷を検討する、(5)天聖令が残存しない戸令の復原を実施し、その他の編目も併せて大宝令の独自性を解明し、7・8世紀における歴史的意義を明らかにする、という全体計画を作成している。 平成25年度は第1段階(基礎データの作成2)の作業を実施する(上記区分の(1)(2))。 (a)日唐令比較研究 日唐令関係文献については、昨年度収集したものに、さらに新たな文献を加えてPDF形式のデータとして整理した。また中国社会科学院との提携により天聖令研究文献目録の共同作成(本科研では日本語文献担当)を継続し、平成25年までのものを作成・交換した。基礎的検討に関する研究報告を実施した(「日唐令の比較と大宝令」)。 (b)日本史料研究 大宝令に関わる単行法令については、「弘仁格抄」の紙焼きを購入するなど、史料集作成の準備を進めた。また大宝令復原に関する研究史を整理し、論文を執筆した(「大宝令復原に関する諸問題」)。一次史料については、田図(荘園絵図聚影釈文編)・大和国条里復原図をPDF化した。賦役令関係については、木簡と関係が深い調庸布関係史料のPDF化および分析を進め、研究報告を実施した(「調庸布と記銘」「調庸布墨書銘からみた貢納制度」)。 また、研究協力者とは個別に連絡を取り合い、会合を開き各自が研究状況について報告し、進捗を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、天聖令を使用した日唐令比較によって、現在失われた大宝令の独自性を検討する。平成24年度・25年度には第1段階(基礎データの作成)として、(1)唐令復原の関連史料および天聖令・大宝令復原に関する文献を収集して条文ごとにデータベース化する、(2)日本における独自規定に関する7世紀から8世紀までの単行法令および一次史料を収集・データ化するという作業計画である。本年度は2年目であり、初年度で収集した文献・資料の増補に努めた。文献目録の作成などの準備作業、日本令研究に関する資料収集やPDF化を進めた。 (a)日唐令比較研究については、昨年度収集した関係文献に新たなものを増補し、PDF形式のデータとして整理した。また中国社会科学院との天聖令研究文献目録の共同作成を継続し、平成25年までのものを作成・交換した。中国文献の収集は上記に従い国内調査を中心とすることにした。ただし唐令復原史料は関連資料の収集を実施したが、データ化は来年度に実施する。さらに基礎的検討についての研究報告を実施した(「日唐令の比較と大宝令」)。 (b)日本史料研究のうち、大宝令に関わる単行法令については、「弘仁格抄」の紙焼きを購入し、史料集作成の準備を進め、日本書紀の主要な詔勅類も整理した。一次史料については、田図(荘園絵図聚影釈文編)・大和国条里復原図をPDF化した。賦役令関係については、調庸布関係史料のPDF化および分析を進め、研究報告および論文を執筆した(「調庸布と記銘」など)。 また当初の計画では、大学院生の謝金作業を実施する予定であったが、適当な人材を確保できなかった。そのため若干作業が遅れたが、自身でデータ化作業は実施した。 研究計画は、全体の中では日唐令比較および単行法令のデータ化がやや遅れているが、日唐令比較と大宝令や賦役令についての分析も始めている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、基礎データの作成を進め、関連史料の収集とデータ化の完成が目標である。計画では26年度前半を目標にしていたが、現状からは年度内完成を目標としたい。本年度天聖令関係文献および大宝令関係文献のうち主要文献については複写・PDF化が概ね完成したので、次年度は、学外文献(国外も含む)の取り寄せおよび、唐令復原史料のデータ化と大宝令に関わる単行法令および関連文献の収集進め、PDF・テキストデータ化を進める。 学外文献については、国会図書館や明治大学図書館の学外取り寄せサービスを利用して、収集を進める。国外文献については、東京大学東洋文化研究所などを利用して収集する。とくに中国では新刊書の刊行が盛んなので、見落としのないように気をつける。 (a)日唐令比較研究 唐令復原史料については、『唐令拾遺』『唐令拾遺補』『天一閣蔵明鈔本天聖令校証』などによる収集を継続し、刊本・影印本の該当箇所をPDF形式のデータとして整理する。 (b)日本史料研究 大宝令に関わる単行法令についてはやや遅れており、「単行法令史料目録」および『続日本紀史料』を中心に8世紀の史料を収集し、『日本書紀』所収の詔勅類も併せて整理し、データ化する。また8世紀の単行法令に関わる文献を収集する。一次史料については、まず田令に関わるものとして、木簡を中心とした田制関連の出土文字資料が記載された報告書の関連部分を複写し、および田図を中心とした律令公文(戸籍・計帳など)に関する古文書を刊本によって整理することを継続する。賦役令に関するものとして『評制下荷札木簡集成』(奈良文化財研究所)などによって近年の調・養(庸)木簡を収集・整理し、さらに負担の単位となった五十戸に関わる出土文字資料(木簡・墨書土器・文字瓦)の複写を継続する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「大和国条里地割および絵図(東大寺・額田寺)の現地調査」の出張を年度内予算にて実施する予定であったが、研究協力者との日程調整により年度末となったため、会計処理が間に合わず、次年度の実施とした。 上記については平成26年3月23日~3月26日において、実施し、平成26年4月段階にて処理は終了している。 次年度の直接経費は700,000円、前年度繰越金が184,847円あり、予算は計884,847円である。費目別には、消耗品費342,000円、旅費388,000円、謝金75,000円、その他76,847円とする。 消耗品の内訳は、書籍の購入費が330,000万円、データ作成・公開用ソフト購入費が70,000円である。旅費は388,000円である。奈良3泊(50,000円×3名)、奈良2泊(29,000円×2回)、京都2泊(29,000×2回)、島根2泊(50,000円)、鹿児島3泊(75,000円)、の予定である。謝金75,000円は補助業務用(60時間分)である。ただし本務を遂行できる大学院生が見当たらない場合は代表者本人が作業をする。その他は文献複写費(国会図書館・他大からの取り寄せ等)、通信費、近距離交通費、抜き刷り送付費などである。
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