2013 Fiscal Year Research-status Report
19世紀蝦夷地における和人・アイヌの接触・交流に関する研究―北海道有珠郡の歴史-
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24520775
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
檜皮 瑞樹 早稲田大学, 付置研究所, 助教 (00454124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久留島 浩 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (30161772)
伊達 元成 伊達市噴火湾文化研究所, その他部局等, 研究員 (70620897)
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Keywords | アイヌ / 移住和人 / 亘理伊達家 |
Research Abstract |
2013年度は亘伊達家家臣団資料調査として、北海道伊達市及び登別市における資料調査(2013年8月1日~5日)、宮城県亘理町及び仙台における資料調査(2013年11月14日~16日)、北海道札幌市における資料調査(2013年12月15日~18日)を実施した。 伊達市での調査では、伊達市噴火湾文化研究所が所蔵する亘理伊達家中関係資料の調査・撮影、及び登別市郷土資料館所蔵が所蔵する片倉家家臣団関係資料の調査を行なった。札幌市での調査では、北海道大学付属図書館北方資料室が所蔵する伊達市及び登別市に関する古地図の調査・撮影、及び北海道立文書館が所蔵する亘理伊達家関係資料の調査・撮影を行なった。宮城県亘理町での調査では、亘理町郷土資料館が所蔵する亘理伊達家関係資料(渡邉家文書、及び亘理二階堂家文書)の調査・撮影を行なった。 また、2012年度に撮影を終了した文書群(①羽田家文書・亘理時代の文書類が中心・92レコード、②伊達二階堂家文書・任免状や知行宛状が中心・34レコード(枝番含まず)、③加藤家文書・任免状や知行宛状(詠句短冊を含む)・28レコード(枝番含まず)、④半沢家文書・手習い本や写本が中心・91レコード、村木家文書・移住後の資料を含む・212レコード)の目録化作業を完了した。 さらに、亘理二階堂家文書に関して、その活用方法を亘理町郷土資料館と協議した。当該資料群は、亘理町の旧家二階堂家の解体作業に伴って襖の下貼りから発見された文書約600点であり、資料保存形態としては下貼りであるため、「二階堂家」の記録のみではなく、古書業者等から購入した多様な史料から構成されると想定される。資料内容は、概ね近世の一枚物からなる600点の一枚物群である。2013年度には当該資料の撮影を完了するとともに、「いろはの会」と協力して翻刻作業を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、蝦夷地(北海道)の先住民族であるアイヌ民族と、和人移住者との接触と交流、その際に生じたConflictとReconciliationの解明を目的とする。その基礎作業として、和人移住者に関する資料調査と、移住後のアイヌ民族を含めた地域社会の再編成のプロセスに関する分析が不可欠である。 2013年度には、亘理伊達家家臣団資料の目録化作業を実施した。亘理伊達家家臣団資料はこれまで存在そのものが不明確であり、新出資料群の目録化は当該研究プロジェクトの推進に資するのみならず、広く当該研究テーマの発展に寄与することとなる。目録化作業は2013年度に完了し、2014年度に印刷・刊行を予定している。 また、北海道大学付属図書館北方資料室が所蔵する古地図類は、亘理伊達家家臣団の地域社会形成を示す資料であり、アイヌ民族との接触・交流を可視的に分析するための格好の素材でもある。これら古地図類に関しては、2013年度に高解像度での撮影を完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
(今後の推進方策) 2014年度の研究活動は、①調査・撮影済み資料の目録化、②収集資料を活用した研究成果の公開、という二つの作業を推進していく。①の目録化については、大雄寺所蔵文書目録を印刷・刊行する。大雄寺所蔵文書とは、2012年度から作業を進めてきた亘理伊達家家臣団資料の総称である。また、亘理二階堂家文書の目録化作業を2014年度中に完了させる予定である。②の研究成果公開については、特に有珠郡・胆振郡における宗教とアイヌ教化に焦点をあてた研究を進める。有珠郡には近世後期より善光寺が設置され、アイヌ教化を推進した。しかし、幕府権力はアイヌの仏教徒化を強力に意図した訳ではなく、仏教集団と幕府権力との間の乖離が存在する。また移住和人集団にとって寺院は自らの生活の拠り所ともなった。仏教団体の布教活動を通じて、植民地蝦夷地でのアイヌ・和人の交流や衝突の歴史を考察することは、蝦夷地研究のみならず、近代植民地における植民政策という視点からも重要な意味を持つ。 (次年度の研究費の使用計画) 2014年度は、①目録の編集作業と、②実地調査及び成果の公開を行う。①の目録編集作業については、2014年4月に開始し、7月の刊行を予定している。②の実地調査及び成果の公開については、2014年8月に北海道伊達市で資料調査を行うとともに、これまでの成果を公開するシンポジウムを開催する。シンポジウムは伊達市噴火湾文化研究所の協力を得て開催する予定である。また、2014年10月には登別市、及び室蘭市での調査を、2014年12月には札幌市での調査を予定している。
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Research Products
(2 results)