2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24520790
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
小倉 慈司 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, その他 (20581101)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 日本史 / 史料学 / 蔵書史 |
Research Abstract |
本年度の実施計画として掲げた作業のうち、①宮内庁書陵部所蔵の特定歴史公文書等の調査については『図書録』『総務課重要雑録』など明治期の資料を中心に順調に進めることができた。この中で特に注目される資料は文学御用掛旧蔵『吹上御文庫書籍目録写』という資料である。分析の結果、同資料は明治8年頃に作成された「吹上御文庫」の書籍目録で、同文庫には明治7年に京都御所より回送された旧京都御所本が収められていたことが判明した。これによって明治8年段階における東京に回送された旧京都御所本の姿をかなり明らかにすることができる。現在、この『吹上御文庫書籍目録写』に関する翻刻ならびに調査研究を活字化する準備を進めている。 またこの目録に基づいて、②宮内庁書陵部図書寮文庫所蔵書籍の原本調査を開始できたことも挙げておきたい。これはまだ手をつけ始めたばかりであるが、「御所本」と呼ばれている資料のみならず、「御歌所本」や在来本の中にも旧京都御所本が存在することが明らかになりつつある。 第三の課題として、旧京都御所本関連資料を有する機関についての調査を挙げていたが、これについてはその予備的調査を開始したほか、『吹上御文庫書籍目録写』と書陵部所蔵特定歴史公文書等の調査によって、従来把握していた以上に外部機関に移管された旧京都御所本が多いことが判明した。この中には火災によって焼失し、現存しない資料も含まれており、すべてを把握することは難しいことが予想されるが、今後、具体的調査をおこない、できる限り旧京都御所本の把握に努めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画のうち、①宮内庁書陵部宮内公文書館所蔵の特定歴史公文書等の調査については、計画通りに調査を進め、かつ成果も挙げることができた。②宮内庁書陵部図書寮文庫所蔵書籍の原本調査については、その前提となるデータベースの校正が考えていたようには進まなかったが、既存のデータをもとに原本調査を進めた。③天理大学附属天理図書館や国会図書館、京都大学附属図書館、京都府立総合資料館等、関連資料を有する機関の所蔵資料調査は、計画通りの予備調査を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
宮内公文書館所蔵の特定歴史公文書等の調査は引き続き進め、できれば25年度中に目標の8割程度の完了をめざしたい。一方、図書寮文庫所蔵書籍のデータベース校正の完成については予算的な面から見送らざるを得ず、今回の研究においては既存の仮入力データベースで対応することとしたい。その他、関連資料所蔵機関についてはこれまで考えていた以上に多いことが明らかになったため、今後、重点的に調査する機関を選定して調査を進めることを考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記のような計画変更を踏まえ、まずは特定歴史公文書等の複写費用支出を優先しながら、計画を遂行していきたい。物品費として100千円、旅費として300千円、人件費・謝金として200千円、その他として200千円の支出を計画している。
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