2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24520790
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
小倉 慈司 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (20581101)
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Keywords | 日本史 / 史料学 / 蔵書史 / 宮内庁書陵部 / 禁裏本 / 宮内公文書館 / 図書寮 |
Research Abstract |
本年度の研究計画のうち,①宮内省書陵部宮内公文書館所蔵の特定歴史公文書等の調査 については前年度に明治期分を調査した『図書録』『総務課重要雑録』などの資料の大正期・昭和戦前期分の調査をさらに進めるとともに、新たに『孝明天皇御事蹟取調録』『侍講日記』『主殿寮出張所重要雑録』『主殿寮出張所日記』『図書録別冊』等の調査を開始し、必要部分の撮影を行なった。 また昨年度に翻刻作業を進めた文学御用掛旧蔵『吹上御文庫書籍目録写』の分析を行ない、それに基づいて、②宮内庁書陵部図書寮文庫所蔵書籍および③京都大学附属図書館・国立公文書館所蔵書籍の原本調査を実施し、旧京都御所本の検討を進めた。この点については『吹上御文庫書籍目録写』が明治8年頃の成立であることを明らかにし、同目録と現存本との対比をかなりの部分まで行ない、その成果を活字化することができた。 なお、これまでほとんど研究が進められていない京都御所旧蔵本中の漢籍については東山御文庫に数種類の近世期の漢籍目録が収蔵されていることを確認し、それらの目録の相互関係等について調査・分析を進め、翻刻作業を行なった。今後は現存する旧京都御所本漢籍との対応関係を調査していく必要があろう。 この他、天理大学附属天理図書館に蔵される明治期の御物について記された小杉榲邨旧蔵史料等の調査を行なった。まだ史料の概略を把握しただけであるが、今後、これらについては紙焼写真による蒐集を行ない、内容の検討を深めたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、昨年度に引き続き宮内省書陵部宮内公文書館所蔵特定歴史公文書等中の関連文書調査進展を第一の目標としていた。当初考えていた以上のペースで調査・収集を進めることができたが、一方で、新たな関連文書の存在に気づいたり、またより時代幅を広げて調査することの必要性も実感した。一方、『吹上御文庫書籍目録写』および同史料に掲載された宮内庁書陵部および京都大学附属図書館・国立公文書館所蔵書籍の原本調査については関係機関の協力も得、当初想定していた以上に対応書を発掘することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は最終年度であり、3年間の研究成果をまとめていきたいと考えているが、その中で既に鍵となる幾つかの重要資料の翻刻・分析を進めたこともあり、今年度はそうした史料の分析を進める一方で、宮内公文書館所蔵特定歴史公文書等中に存在する関連資料の概要を広く研究者に知らしめることが、今後の図書寮文庫蔵書史研究の上で大きな意味を持つのではないかと考えている。したがってさらに新たな史料発掘に努めつつ、関連資料目録を作成して広く公開する方策を検討したい。
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