2012 Fiscal Year Research-status Report
出土文物の分析による4~6世紀東アジアにおける文化融合・社会変動の研究
Project/Area Number |
24520795
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
小林 聡 埼玉大学, 教育学部, 教授 (40234819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川本 芳昭 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 教授 (20136401)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 服飾制度 / 中国 / 出土文物 / 中央アジア / 北アジア |
Research Abstract |
本研究は、4~6世紀前後における東アジア世界の出土文物において表現されている服装など、文化や生活にかかわる諸要素を分析することによって、この時期の民族移動や文化融合の実態を明らかにすることである。 以上の内容に沿って、平成24年度は、出土文物などの画像ファイルを増やすことにつとめた。以前の科研費(平成20~22年度)では中国本土の出土文物の収集作業をメインとし、補足的に高句麗壁画など中国周辺諸国の文物をデジタル画像化していたが、今回の研究では視野をさらに広げて、西域・中央アジア地区・イラン等の地区の服飾に関る文物をデジタル画像として収集し、研究の「グローバル化」をはかっている。具体的には、以下のような内容で、研究を進めた。 ①中国各地の新たな出土文物をはじめ、北アジア(主として突厥石人)や中央アジア(主としてサマルカンド王の遺跡であるアフラシャブ壁画)の文物に関する文献から画像のスキャンを行った。 ②中国・内モンゴル自治区のフフホトを訪問し、内蒙古博物院などの博物館で、北魏~唐時代の出土文物のデジタルカメラによる撮影を行った。これは、内蒙古地区にある北魏時代の陶俑や壁画などの出土文物を実見するためのものであるが、内蒙古博物院では、あまり知られていない北魏初期の「勅勒川狩猟図」をデジタルカメラで撮影することができた。 ③デジタル化した資料を作成された時代、出土地点などを基準に整理した。本科研で収集したもの以外も含めて、現在8300余りを収集したことになる。地域的にも、古墳時代の日本列島から中央アジアまでの主要文物の相当部分を網羅するに至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の課題は、4~6世紀前後における東アジア世界の出土文物において表現されている服装・住居・食物・楽器など、文化や生活にかかわる諸要素を分析し、当時の社会を見通すことであるが、視野を東アジアの農耕地帯からやや広げて、中央アジアのソグド人遺跡や遊牧地帯の突厥遺跡からも幅広く服飾に関る文物を画像資料として収集した。 ただ、本年度は、埼玉大学の他のプロジェクトの作業もあって、必ずしもスキャン作業などが進捗しなかったが、一方で、フフホトにおける出土文物の実見など、貴重な成果もあった。 以上のことから、当初予定していた最低限の目標は達成できたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的に沿って、今後は、さらに出土文物のデジタル画像化を進めていきたい。リサーチを進めていく過程で、中央アジアや北方遊牧民の服飾資料(デジタル画像化したもの)等の収集が不可欠であることがわかった。それゆえ、漢族居住地域の出土文物に加え、より広く出土文物の画像資料を収集して、4~6世紀とそれに前後する時代の、服飾等の流れを把握できる状況にしていきたい。 特に、北魏から唐代まで長期にわたる服飾(あるいは生活の様式)の状況が描かれた敦煌壁画については、数量の膨大さのために、これまで収集したデジタル画像は部分的な作業にとどまっていたが、平成25年度には、これらについても本格的に作成・整理を進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
関連資料のコピーなどに使用する予定である。
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