2012 Fiscal Year Research-status Report
19世紀英領ビルマの現地人官吏と植民統治体制についての研究
Project/Area Number |
24520796
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
岩城 高広 千葉大学, 人文社会科学研究科(系), 准教授 (90312925)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 英領ビルマ / ミャンマー / 植民地 / 官僚制 |
Research Abstract |
本年度の研究計画の骨子は、(1)現地調査の実施、(2)収集した文書の分析により、植民統治体制におけるビルマ人地方官吏の位置づけを明らかにすること、の2点であった。研究実績としては、計画のとおり、ミャンマーでの調査を実施し、史料の調査、収集をおこなったこと、収集した史料の読解、分析に着手したことをあげることができる。 まず現地調査については、2012年8月20日より9月7日までミャンマーへ出張し、国立公文書館において史料調査、収集をおこなった。具体的には、以下の2種の文書を閲覧し、一部を複写して収集した。(1) 1880~1900年代の英領ビルマにおける、地方統治に関する文書。今回は、ビルマ南部ピャーボン県、ミャウンミャ県を中心に、1893から94年にかけて導入されたユワー・トゥーヂー(村長)制度など統治の基本的状況について考察した。(2)ビルマ人地方官吏の個人ファイル。異動を願い出る文書、昇給や昇進をもとめる文書など、上司に対するさまざまな要望を記した文書から、植民地体制下におけるビルマ人地方官吏の主張を読みとることができた。他方、史料の残存状況には精粗があるため、分析対象とする史料の時期や地域、カテゴリーについて、あらためて検討する必要があることも認識した。ビルマ人地方官吏が、植民統治体制やその権力(政庁や上司)をいかに認識していたのか、あるいは官僚制のなかで、どのように行動したのかという観点から、焦点をしぼることが課題となった。 国内では、コニカミノルタ社製デジタルスキャナーを導入して、収集した史料の読解、分析に供している。また、ビルマ(ミャンマー)史関連、アジアを中心とした植民地史関連の文献を、できるだけ幅広く購入して、明らかにすべき問題の位置づけや分析手法をさらに明確化することをめざした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度中に着手すべき作業を、ほぼ計画どおり実施できたため。ただし、史料分析については、分析対象とする史料のしぼりこみや手法について、なお検討の必要性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の基礎的作業となる、史料の分析を継続する。その過程で、検討課題となった、分析対象とする史料のしぼりこみやその手法について、明確化をはかる。また、ミャンマーにおける現地調査を実施する。ビルマ人地方官吏が作成した文書、ことに上司にたいする要望や申請をおこなった事例を蓄積し、その意味を植民統治体制の文脈において検討する。このようにして、ビルマ人地方官吏が、植民統治体制とどのような関係にあったのかを考察することをめざす。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現地調査を実施して、今年度の調査を補完する。また、現政権によって情報統制が大幅に緩和されたため、ミャンマー国内における出版状況の変化に留意し、これまで不十分だった本研究課題に関連する、現地出版物の調査、入手にもつとめる。
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