2012 Fiscal Year Research-status Report
13ー4世紀の雲南地方における民族形成と民族間関係
Project/Area Number |
24520800
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
林 謙一郎 名古屋大学, 文学研究科, 准教授 (20294358)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換 中国 / 少数民族 / 民族形成 / 民族史 / アジア史 |
Research Abstract |
本研究初年度の第1の課題は,本研究に必要な文献の収集(そのための予備調査を含む)であった。国内における予備調査に関してはおおむね順調に推移した。 また,9月下旬から10月上旬にかけて中国雲南省に出張した。この出張にあたっては,雲南大学歴史系を拠点として現地の研究者との情報交換,および実際の資料の収集活動を実施する予定であった。このうち前者の情報交換に関しては大きな問題なく行うことができたが,後者の資料収集のうち,出版物に未収録の石刻資料の収集などに関しては,訪中した時期が現地における反日運動の高潮期にあたり,受け入れ先の雲南大学歴史系からもむやみな外出を自粛するよう要請があったため,十分に行うことができなかった。 これらの活動のうち,主として国内で行った,1970年代以降に大理地区で発見された石刻資料に関する分析にもとづいて,13-4世紀の雲南地方の政治状況と,本研究の分析対象である白族の先民である白人のモンゴル政権の地方支配体制内における地位・活動状況について,国外および国内の学界・研究会で研究発表をおこなった。これはモンゴル政権に滅ぼされた大理国の子孫である段氏が,どのようにモンゴル政権に参加して自らの地位を保持していたかに関する研究であると共に,元代~清代の雲南における中国王朝の異民族支配の方式である「土司制度」の起源についての通説に新たな疑問を投げかけるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は主に文献資料を用いる研究であるが,その中で公刊されていない資料,石刻資料などが少なからぬウェイトを占める。それらの確認,収集のために毎年度中国における現地調査を計画しているが,24年度に関しては,上記のように,研究代表者が訪中した時期が現地における反日運動の高潮期にぶつかり,(幸い危険を感じるような自体には至らなかったものの)行動に大きな制約を受けたこともあり,十分な調査活動を実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本来初年度の後半に計画していたが,現状では十分進めることのできていない文献中の民族名称の抽出・データ化を,25年度は集中的に行うこととしたい。その作業が一段落した後,本格的にモンゴル政権時代の各民族の呼称や分布状況と前後の時代,すなわち唐宋時代(おびそれ以前)・明清時代の各民族の状況との比較検討を進める。この段階は基本的には申請者一人が行うべき作業であるが,必要に応じて各民族の専門研究者との間で申請者の立てた仮説に関する協議を行う。国内に雲南少数民族に関する歴史研究に従事している研究者が少ないことを考慮すれば,25年度にも中国に出張し,雲南大学および北京の中央民族大学などで学術交流および研究発表をおこなう必要がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
残額は今年度の海外出張・資料購入などを差し引いた後の端数(1000円以下)であり,次年度の資料購入などの費用に充当する。
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Research Products
(2 results)