2013 Fiscal Year Research-status Report
13ー4世紀の雲南地方における民族形成と民族間関係
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24520800
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
林 謙一郎 名古屋大学, 文学研究科, 准教授 (20294358)
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Keywords | 国際情報交換 中国 / 少数民族 / 民族形成 / 民族史 / アジア史 |
Research Abstract |
今年度は昨年度の状況報告書で述べた,文献中の民族名称の抽出・データ化を進めてきたが,現状ではそこから具体的に発表すべき成果を出す段階には達していない。 なお今年度は25年8月と26年1月の2回,雲南省昆明市の雲南大学を訪問する機会を得た。8月の本研究費による出張では昆明市内で出版物を中心に資料収集を行うと主に,雲南東部の曲靖市を訪れ,同地に現存するいくつかの石刻史料を実見する機会を得た。また12月の訪問は研究分担者をつとめる基盤研究(A)「山から見たベトナム史」(研究代表者:松尾信之)のベトナム・雲南調査の帰途であったが,同調査隊の解散後昆明に残留して引き続き学術交流を実施することができた。その中で,本課題と関連の深い明初の雲南地方に対する文化政策について,同時期に南京から雲南へ配流された日本人僧の動向などと関連付けた口頭発表を行い,雲南大学の研究者から多くの示唆に富むコメントを受けることができた。 なお訪中に先立ち,本課題で扱っている『元史』地理志に含まれる記載を手がかりに南詔・大理国時代の政区(行政機構)に関して行った研究を,雲南大学歴史系を中心に編集した論文集『方国瑜誕辰110周年紀念文集』に寄稿した。これは故方国瑜教授が主張し,現在一般に用いられている『中国歴史地図集』に記載され,通説となっている南詔・大理国の政区の名称に関する見解に修正を迫るものであり,訪中時に雲南大学歴史系においても高い評価を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は主に文献資料を用いる研究であるが,その中で公刊されていない資料,石刻資料などが少なからぬウェイトを占める。それらの確認,収集のために毎年度中国における現地調査を計画している。25年度に関しては,さいわい昨年度のように反日運動の高潮期にぶつかることは避けられたが,滞在期間の制限などにより十分な調査ができていない部分がかなり残っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度実施した文献中の民族名称の抽出・データ化をさらに進め,モンゴル政権時代の各民族の呼称や分布状況と前後の時代,すなわち唐宋時代(おびそれ以前)・明清時代の各民族の状況との比較検討を進める。この段階は基本的には申請者一人が行うべき作業であるが,必要に応じて各民族の専門研究者との間で申請者の立てた仮説に関する協議を行う。国内に雲南少数民族に関する歴史研究に従事している研究者が少ないことを考慮すれば,26年度にも中国に出張し,現地において学術交流および研究発表を行う必要がある。具体的には,24年度にも参加した「土司制度与辺疆社会国際学術研討会」が26年度は広西壮族自治区忻城県で開催されるがこれに参加して研究発表を行うことを検討中である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度購入した図書資料の一部(中国出版のもの)について,複数の書店による相見積りを実施した結果,当初予定していたより安価で購入できたこと。および,購入を予定していた図書資料の一部の出版が遅延し,25年度中に購入できなかったことなどによる。 上記の出版が遅延している資料の購入および,その他の資料の購入に充てる。
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Research Products
(1 results)