2014 Fiscal Year Annual Research Report
13ー4世紀の雲南地方における民族形成と民族間関係
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24520800
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
林 謙一郎 名古屋大学, 文学研究科, 准教授 (20294358)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 中国少数民族 / 雲南民族関係史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で明らかにできた内容は以下のとおりである:モンゴル政権時代の雲南地方に関する文献史料に記載される各民族の呼称・分布状況について分析を行った結果,まず現代白族の先民とされる[棘/人]人(以下「白人」と記す)については,13世紀半ばには雲南西西部・中部を含むかなり広い範囲に分布し,現代白族の分布範囲を大きく超えているが,同時に現代の大理地区が「白人」文化の中心として強く意識されていることが証された。これは報告者が従来から主張している,白族は南詔国後期(9世紀)に大理地区においてその核心が形成され,大理国時代(10-13世紀前半)を通じて雲南各地へ拡散したという仮説に符合するものである。一方,現代彝族の先民に関しては,雲南東北・貴州に存在した烏撒烏蒙宣慰司・羅羅斯宣慰司については多く言及されるものの,雲南中部・西部(現在の昆明市・楚雄州・大理州)にかんしては言及が少なく,これらの地域に現在分布している彝族の各支系の形成・分布の時期が前述の白族先民に比較してかなり遅いことが明らかになった。これは,古来から雲南中部以北の二大民族(群)をなしていたと見なされる白族・彝族のそれぞれの先民に関して,その現在にいたる分布状況が形成された時期にかなりの時間差があることを指摘するものであり,この両民族(群)が主要な役割を果たした南詔・大理国の民族系統問題にも影響を与えるものである。現状では今回の分析と前代(宋代)・および後代(明代以降)との接続状況の分析が十分ではないが,その点に関する検討を進めることにより,本研究の論点は雲南民族関係史の枠組みに修正を迫るものに発展しうるものである。
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Research Products
(1 results)