2013 Fiscal Year Research-status Report
アラビア文字碑刻銘文資料の精査に基づく西アジア史の研究
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24520802
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井谷 鋼造 京都大学, 文学研究科, 教授 (60144309)
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Keywords | アラビア文字 / 碑刻銘文資料 / トルコ共和国 / 現地調査と解読 / イラン・イスラーム共和国 |
Research Abstract |
平成25年度は8-9月にトルコ共和国イスタンブル、デニズリ、エイリディル、ベイシェヒル、コンヤ、ニイデ、カイセリ、マラトヤ、スィワス、ディヴリイ、トカト、アマスヤ、スィノプ市、及びオーストリア連邦共和国ウィーン市へ現地調査に赴き、各地で12-20世紀に造られた多くのアラビア文字碑刻銘文資料を実見、写真撮影し、これらの資料に関連する参考図書資料を収集した。調査より帰国後、これらの資料を整理、解読、検討する作業を継続している。本研究の主たる対象は、西暦13世紀のアナトリア地域のアラビア文字碑刻銘文資料であるが、その前後の世紀、及び15世紀以降20世紀にいたるアナトリアを中心とするオスマーン帝国時代の碑刻銘文資料についても、重要なものを洩らさぬように、網羅的な調査、研究を心がけている。また、比較の観点から14~17世紀のイラン地域のタイル銘文、石刻銘文についても調査、研究を続けており、これらを合わせる形で研究実績をまとめるための材料が揃ってきている。現地にある碑刻銘文資料は、それら単独では歴史的な価値や意味が理解しにくい場合が多い。本研究では、資料の収集、調査、検討に合わせて、関連するアラビア語、ペルシア語、トルコ語史書との参照を行い、現地にある碑刻銘文資料が、西アジア、アナトリア、イランの歴史といかなる関係を持ちながら作成されたのかについて、歴史的に的確な考察を行なっている。研究の性質上、短期間での実績を提示することは容易ではないが、次年度の研究に向けての準備は整ってきている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記したように、平成24,25年度の研究は順調に進展している。この研究を進めるにあたり、本研究の代表者は、充分な準備を行い、また経験も積んできているために、資料調査の範囲をさらに広めて着実に研究は進んでいる。調査終了後の解読、検討能力も年々向上しており、今後の研究の進め方に関しても不安や問題はない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、本研究課題の最終年度に当たるため、今年度に予定している調査、研究を行なうと共に、これまでに本研究課題で調査、収集、解読、検討を行なった資料をまとめ、トルコ共和国とイラン・イスラーム共和国とに分けて資料集を刊行する予定である。またこれまで調査、収集した資料の中から、特に重要と思われる碑刻銘文資料を選んで、その歴史的な意義を紹介する論文を執筆し、学術雑誌に掲載する予定である。
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