2013 Fiscal Year Research-status Report
戦後内戦期から人民共和国初期に至る<国家-社会>関係の転形と再構築
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24520809
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
金子 肇 広島大学, 文学研究科, 教授 (70194917)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹川 裕史 上智大学, 文学部, 教授 (10196149)
水羽 信男 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (50229712)
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Keywords | 中国 / 近現代史 / 国家 / 戦後内戦期 / 中華人民共和国 / 農村社会 / 都市社会 / 基層社会 |
Research Abstract |
1.本研究計画の目的は、戦後内戦期から人民共和国初期に至る時期の中国について、国家権力の社会への浸透如何、国家による社会の制度的組織化如何という視点から、<国家-社会>関係の変容と再構築の過程を明らかにしようとするところにある。今年度も、この研究目的及び研究実施計画に示した「研究実施の基本的サイクル」に従って、順調に研究を進めることができた。 2.研究代表者の金子は、人民共和国初期を対象に、①「工商業税民主評議」(同業団体による営業額・営業税の評定)の実施、②抗米援朝運動下で展開された「愛国業務公約」の制定に着目し、上海の工商同業公会と共産党政権との関係についてそれぞれ論文を執筆した。2014年度内に『歴史学研究』・『史学研究』に掲載される予定である。研究分担者の笹川裕史は、戦後国共内戦・朝鮮戦争等を対象に総力戦が中国基層社会に与えた影響について学会報告を行うとともに、朝鮮戦争期の兵役負担者援護事業を対象に基層社会の実態について論文を発表した。同じく研究分担者の水羽信男は、1930年代から人民共和国初期に至るリベラリストの動向を追求する作業のなかで、1930年代の胡適と羅隆基に関する論文を公表した。 3.本研究計画に必要な史料を収集するため、今年度も金子・笹川・水羽の3名は上海市档案館・上海図書館に赴いて関連史料の調査を実施した(8月実施)。また、研究課題の一つ、知識人・リベラリズムの近代中国における長期的動向、それを踏まえた都市社会の変容に関連する取り組みとして、曽田三郎著『中華民国の誕生と大正初期の日本人』の書評会を実施した(3月実施)。 4.研究の打ち合わせ会については、上海での史料調査の際に行ったものに加え、3月に実施した上記書評会の際にも行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【研究実績の概要】に記した「研究実施の基本的サイクル」とは、<①国内外における史料の発掘・収集・解析→②メンバー各自の個別実証研究の深化→打ち合わせ会→③研究発表・論文発表を通じた相互の意見交換→④研究視点・問題意識の検証と再構築→①国内外における新たな史料の発掘・収集・解析……>の反復と積み重ねである。 今年度も、メンバー3名が8月に共同で上海市档案館・上海図書館において史料調査を実施し、相互に意見・情報を交換しながら各自の研究課題に沿った史料を収集した。また、【研究実績の概要】にも記したように、各メンバーそれぞれが本科研のテーマに関わる個別実証研究を論文・研究発表の各種形式において公表することができた。 加えて、今年度も2回の研究打ち合わせ会を実施し、意見交換を通じて相互の研究課題に関する認識を高めることができた。 以上の点から、今年度は本研究計画の目的達成に向けて、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.新年度も基本的に本年度の方策を継承する。すなわち、本年度における研究の進展状況を踏まえて、適宜修正すべきところは修正を加え、「研究実施の基本的サイクル」に即して作業を継続していく。 2.史料の収集・解析を不断に継続する。対象とする機関は、昨年度同様に上海市档案館と上海図書館とする。 3.引き続きメンバー各自の個別実証テーマを掘り下げていく。金子は上海を対象とした都市税政と同業団体との関係を、笹川は農村基層社会を対象に、その変容と地域秩序の実態を、水羽は知識人・リベラリズム研究の視点から都市社会の変化を、それぞれ研究していく。また、各自が研究成果を学会発表や論文執筆等の手段によって発信する。 4.相互の意見交換と研究視点・問題意識の再検証を継続する。相互の情報・意見の交換は、学会等における発表、学術雑誌への論文掲載を通して行うだけでなく、研究打ち合わせ会(上海での共同実施調査も含め)の開催によって担保していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度助成金より残額が残り次年度に繰り越されるのは、購入した図書の価格合計が予定より安価に済んだためである。 次年度に繰り越された助成金と次年度分として請求した助成金を併せた使用計画は、今年度の枠組みを基本的に踏襲するが、研究分担者の旅費については減額し、その分を物品費とりわけ中国・台湾等で公刊された編纂史料類やマイクロフィルム史料類の購入に向けたい。したがって、物品費が主要な支出項目となり、そこに若干の人件費と謝金が加わる予定である。 繰り越された助成金は、主に研究代表者の旅費と物品費に補填していく予定である。
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Research Products
(7 results)