2013 Fiscal Year Research-status Report
オランダ植民地期インドネシアのバティック産業の展開
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24520819
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Research Institution | Wakayama National College of Technology |
Principal Investigator |
赤崎 雄一 和歌山工業高等専門学校, 総合教育科, 准教授 (10342536)
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Keywords | インドネシア |
Research Abstract |
この研究は、インドネシアのバティック(ロウケツ染め)産業の先駆的な歴史研究である。バティックはオランダ植民地期に産業として発展し、現在では「民族産業」と理解されている。本研究の目的は、第一に、このバティック産業の成長過程を明らかにすること、第二に、バティック企業と労働者との関係、雇用方法、賃金、失業者の問題などから地域社会にバティック企業が及ぼした影響について検討することである。昨年度はオランダと日本で史料調査を行い、多くの史料を収集することができた。 今年度は8月20日から29日までインドネシアで調査を行った。その中心となるのがジャカルタにあるインドネシア国立図書館での調査である。インドネシア語出版物は現地の流通事情の問題のため、なかなか国内外で入手することが困難であるが、国立図書館は網羅的に収集している。しかし、調査前にも下調べをしていったのに関わらず、思うように多くの文献を発見することはできなかった。ただバティック産業の歴史的研究がインドネシアでもあまり行われていないことは確認できた。 続いて、バティック生産地を訪れ、実際に生産現場を見て回った。チルボンでは手描きバティックを生産されている日本人経営の作業場を見学し、直接、経営者の方から話を聞くことができた。スラカルタではダナルハディ社経営のバティック博物館を訪れ、見学するとともに出版物を入手した。また植民地時代から有名なバティック生産地域を歩いてまわり、現在、バティックで町おこしを行っていることがわかり、興味深かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度の報告書にも記載しているが、昨年度のオランダでの史料調査によって当初の予想を上回る多くの史料を収集することができた。喜ばしいことであるが、その整理と分析に時間がかかり、今年度の進行状況は少し遅れ気味になっている。インドネシアでの史料調査を終え、2年間で収集した史料を整理してみると、当初の研究計画を若干変更する必要性が出てきたことも計画の遅れにつながった。まず収集した史料が主に1920年代、30年代のものであり、19世紀末から20世紀初めにかけての史料が非常に限られている。次にバティック生産地域であるスラカルタ、ラセムの史料は多いが、その他の地域の史料が限られていて、詳細に検討することが難しくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は、バティック産業の成長の過程を明らかにし、地域社会にバティック産業の及ぼした影響について検討することである。当初の計画ではそれを、19世紀末から20世紀初めの時期、第一次世界大戦期、1920年代~30年代の3つの時期に分け、それぞれの変化について検討する計画であった。 前述したように、収集した史料の問題があるため、計画を少し修正し、次のようなテーマで研究を進めたい。第一に、バティック生産地として最も有名なスラカルタに対象地域を絞り、20世紀初めからの産業の発展を検討する、第二にラセムのバティック企業の労働問題についての検討、第三に1930年代ジャワ全般のバティック産業の発展について、順に検討する。 年度内に第一のテーマで研究報告、論文作成を行いたいと考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
インドネシア調査において、購入した書籍の価格が予定より少なかったため若干の未使用金が生じた。この分は次年度の図書の購入費などに当てたい。 次年度の研究費については、海外調査費はなく、国内の研究発表の旅費、図書費などの消耗品費用だけである。若干、前年度の未使用金があるため、それも図書費にあてるつもりでいる。
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Research Products
(1 results)