2012 Fiscal Year Research-status Report
ノルマン・シチリア王国農民の研究~アラビア語、ギリシャ語、ラテン語史料の検討から
Project/Area Number |
24520826
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高山 博 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (90226936)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 中世 / ヨーロッパ / ノルマン / シチリア / 農民 / 羊皮紙 / イスラム / 地中海 |
Research Abstract |
平成24年度は、イタリアとスペインの古文書館に保管されているアラビア語、ギリシャ語、ラテン語羊皮紙手書き文書の写真の蒐集を開始し、入手できたものから順にその内容の検討に入った。そして、PalermoのArchivio Diocesano所蔵羊皮紙文書(Fondo Primo, nos. 14, 16, 25)、PalermoのBiblioteca Centrale della Regione Siciliana所蔵羊皮紙文書(Tabulario di S. Maria Nuova di Monreale, Pergamene, no. 45)、ToledoのArchivio Ducal de Medinaceli所蔵羊皮紙文書(Fond Mesina, no. 1119 (S 2001))等の検討から、J. JohnsとA. Metcalfe が近年提示したムスリム農民の2つの階層という見解に疑義が生じた。彼らは、M. AmariやF. Chalandonの研究以来受け継がれてきた、ノルマン・シチリア王国の2つの農民層の枠組みに従って、アラビア語史料のhursh (the rough men)とmuls (the smooth men)を、ムスリム農民の2つの階層(「登録農民(registered)」と「非登録農民 (unregistered)」)を示すものと理解したが、muls はthe rough men と対比されるthe smooth menを意味するのではなく、住民リストへの記入漏れを意味していることが明らかとなったからである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
必要な羊皮紙文書の写真が手に入りつつあり、これまで入手できたものの検討から、期待どおりの結果が出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、平成24年度と同様の作業を行う。入手済史料の検討作業が中心となるが、史料(の写真)の入手、文献・史料の蒐集作業を続け、入手できない史料については、現地の古文書館で作業を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
英語論文の校閲料および史料整理補助の謝金。
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