2015 Fiscal Year Annual Research Report
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24520831
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
栗原 麻子 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (00289125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
師尾 晶子 千葉商科大学, 商経学部, 教授 (10296329)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | リュクルゴス / 互酬制 / ヘレニズム / 顕彰 / アッティカ法廷弁論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題においては、古典期からヘレニズムにかけての移行期であるリュクルゴス時代のアテナイの政治文化を横断的にとらえることを目的とした。研究分担者は、リュクルゴス自身の弁論を分析し、その弁論が、伝統的互酬的価値観にもとづいていたことを示した。さらに、リュクルゴス時代をより多角的にとらえることを目指し、碑文資料を専門とする研究分担者や研究協力者との協力のもとに、彼の時代にみられるヘレニズム時代へとつながる経済政策や顕彰事業が、そのような互酬敵価値観にもとづいておこなわれていたと論じ、伝統と創造の時期としてリュクルゴス時代を総体的にとらえる端緒とした。とりわけ25年3月に京都でおこなったシンポジウムLycurgus in Transitionにおいては、プロクセニア制度の運用にみられる反マケドニア的言説や、訴訟における報復意識の強調をとおして、カイロネイア戦争後の時代状況を踏まえたうえで、顕彰や新たな碑文慣行の形成、伝統の創造といった多様な論点から、リュクルゴス時代に光をあてることができた。26年度および27年度においては、これらの成果を公開するために、新たな執筆陣も得て、論文集の作成を企画し、そのための打ち合わせと編集業務を、アテネ、米国のブラウン大学およびロンドンのロイヤルホロウェイ大学、京都において順次おこなった。編集業務は今後も継続する予定である。またリュクルゴス時代の文化変容について、ヘレニズムとギリシア社会全体のなかでとらえる必要から、研究分担者と協力して、Riet Bremen教授を招聘した。今後は氏の主要業績ともかかわりの深い、ギリシア世界における公私関係の変容に研究を拡大する予定であり、本研究はそのための基盤とみなすことができる。
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Research Products
(7 results)