2014 Fiscal Year Annual Research Report
ハンザ都市ブレーメンの変容―ハンザの厄介者から一流のハンザ都市へ
Project/Area Number |
24520836
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
谷澤 毅 長崎県立大学, 経済学部, 教授 (00288010)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ブレーメン / ドイツ / ハンザ / 大西洋 / 移民 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は19世紀のブレーメンを取り上げ、人口変動や工業、鉄道網の形成、海運・貿易の拡大などの側面から港湾都市として成長していく姿を追った。都市成長の過程については、人口の伸びとともに、職業統計から示される産業別の就業者数の変化から具体的に確認することができた。海運・貿易に関しては、アメリカ合衆国との関係が重要であること、また、ブレーメンがアメリカに向けた移民の移出港としても重要であることも明らかにすることができた。 本研究は、ハンザ都市ブレーメンが「わがままなハンザ都市」から一流のハンザ都市へと変化を遂げる過程を、ハンザの変質やドイツの統一を視野に入れながら明らかにする研究であった。平成24年度は、まずハンザ発展期から盛期にかけてのハンザのなかでのブレーメンの位置について検討を加え、ハンザの「厄介者」と見なしうる理由を明らかにした。平成25年度は、ハンザ衰退期・消滅期を中心に考察し、ハンザが三都市同盟として旧ハンザの伝統を継承していくなかでブレーメンがハンザを牽引する側の都市へと変質した点を明らかにした。ただし、ハンブルクやリューベックといったほかの主要都市との関係は必ずしも良好であったとは言えず、また、この二都市と比べてブレーメンが「三番手都市」の立場に甘んじざるを得なかったことについても確認した。そして最終年の平成26年は、ハンザ三都市の領事設置の動きや、ドイツ統一の気運の高まりを見据えながら、上述のように19世紀のブレーメン躍進の具体的な内容について明らかにした。 これまで我が国では、ハンザ史や近代以前の都市史の側面からブレーメンを取り上げた研究は皆無であったが、本研究が実施されたことによりこの欠落点がわずかとはいえ補われたのではないかと考えられる。
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