2012 Fiscal Year Research-status Report
つながる消費文化 啓蒙化する市場と集合的嗜好形成をめぐって
Project/Area Number |
24520839
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
眞嶋 史叙 学習院大学, 経済学部, 教授 (90453498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井田 靖子(菅靖子) 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (20312910)
大橋 里見 専修大学, 文学部, その他 (40535598)
新井 潤美 中央大学, 法学部, 教授 (70222726)
草光 俊雄 放送大学, 教養学部, 教授 (90225136)
田中 裕介 青山学院大学, 文学部, 准教授 (00635740)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 西洋史 / 経済史 / イギリス / 国際研究者交流 / 消費文化 |
Research Abstract |
本研究では、調査分析をテーマごとに分担、理論面では有機的に組み合わせて共同で展開し、広く国際研究協力体制の確立することを目指してきた。具体的には、まず、共同研究の場としての消費文化史研究会において、テーマごとの単行本執筆・刊行の流れを継続するため、第1段階終了時までに執筆報告を済ませていなかった大石(連携研究者・東大)がチャリティに関して、新(研究協力者・ヨーク大)はギャンブルと投資のテーマでの執筆報告を行った。また、国際研究協力としては、前回の国際シンポジウム基調講演者John Brewer(カルフォルニア工科大)、Avner Offer(オクスフォード大)、John Styles(ハートフォードシャー大)の論文およびその他優秀論文を厳選し、日本語に翻訳したものを『消費文化史アンソロジー(仮題)』として刊行するため、打ち合わせ・編集作業を行ってきた。同時に、次回(平成26年度開催予定)の国際シンポジウムにむけて、海外研究連携者の選定と短期招聘受け入れ態勢の整備も進めてきた。個別研究成果を確実に単行本として刊行し遂げるために、各自執筆活動も継続してきた。これらの努力が、一層広範囲で共有されうる概念としての、「消費文化」メカニズムの全体像を浮上させ、概念的に広く頒布できる研究成果を生み出すことにつながると考える。本年度夏に開催された日英歴史家会議(AJC)および欧州経営史学会(EBHA)等へ参加して、研究成果の公表と国内外研究者グループとの連携も深めた。スケジュール: ①平成24年4月から7月:大石(研究分担者)執筆報告・アンソロジーの編集作業; ②平成24年7月から9月:集中的な資料収集および執筆・国際会議等への参加・アンソロジー執筆者翻訳者との連携; ③平成24年10月から12月:新(研究協力者)執筆報告; ④平成25年1月から3月:アンソロジー翻訳作業・単行本執筆
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、計画したように「消費文化史」の問題関心を共有する研究者による共同研究の場としての消費文化史研究会の活動が維持されたことで、プロジェクトの目的がおおむね達成されたと考えられるが、研究会開催回数が減少気味であることは留意すべき点である。しかしながら、各自の執筆活動は順調に進んでいるため、プロジェクト最終年度までの単行本刊行という目標は達成されるであろうと考える。最終年度に計画している次回の国際シンポジウムに向け、より広範囲な問題関心を取り込む形でよりグローバルに発展させたいと考え、招聘基調講演者の選定に時間を要した。また、前回の国際シンポジウム基調講演者の論文は、当初は海外学術誌の特集号としての刊行を目指したが、John Styles(ハートフォードシャー大)教授の発案で、日本語によるアンソロジーとしての刊行に切り替えたため、イギリスにおける打ち合わせ、日本における翻訳編集作業に時間がかかった。本年度夏に開催された日英歴史家会議(AJC)および欧州経営史学会(EBHA)等へは当初消費文化史パネルとしての参加を目指したが、結果的には個別研究としての成果の公表と国内外研究者グループとの連携を推進するにとどまった。全体としては、計画してきた課題は若干の修正はあったもののおおむね順調に進展してきているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
消費文化史研究に関しては、海外における研究が進んでいることは確かであり、海外の研究者の短期招聘等も行いながら意見交換を重ねていく必要がある。平成26年度末に国際シンポジウムを開催し、国内外の研究者と開かれた形でそれまでの研究成果を問い、意見交換を行いたい。その準備作業と並行して、同時期の単行本刊行をめざし、草光(研究分担者)は、研究課題として植物学の歴史的萌芽プロセスを俯瞰的に調査・報告し、新井(研究分担者)は、啓蒙化の時代の旅行・観光の変化について、菅(研究分担者)は、緑のインテリアを担当し、眞嶋(研究代表者)は、旧英領植民地における織物取引と現地のファッション行動について調査・報告する。大橋(研究分担者)は美術オークションに関して、田中(研究分担者)は効率性の概念と消費について、新(研究協力者)はギャンブルと投資のテーマでの執筆報告を行う。また、前研究では研究分担者を務めた大石和欣(連携研究者・東大)にも報告を依頼する。各自担当課題を新たに設定し調査研究を進めるかたわら、とくに国際シンポジウムの成果を中心にして、成果評価の機会を設けてさらに細かく検証し、最終的には成果報告書の形でまとめあげたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の予算執行は順調に行われたものの、次年度における眞嶋(研究代表者)への配分が当初やや少額に見積もられており、本研究プロジェクト遂行のための調査・打ち合わせ等に関わる旅費の確保が難しいと考えたため、本年度節約をして生まれた余剰分を繰り越すことにした。最近の為替相場を考慮しても適切な判断であったと考える。
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Research Products
(6 results)