2014 Fiscal Year Research-status Report
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24520840
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松嶌 明男 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (20306210)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 一般向けの成果公表 / 一次史料の分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は結果的に、研究を進めたことによって得た成果を一般向けに公表することに力点を置くことになった。昨年度の実地調査が本務校の職務との兼ね合いで2014年3月末の実施となった上、夏期休暇中の実施が不可能な学事日程は変わらず、主に収集した史料の分析を進めつつ、各方面からお話をいただいた一般向けの研究成果の公表を重点的に行った。 具体的な形を為した成果および為しつつある成果としては、以下のものが挙げられる。 2015年夏の刊行を目指して、宗教の章に多くのページを割いたナポレオンに関する一般書(単著)の原稿を仕上げた。既に編集部に引き渡し、出版に向けた具体的な編集・校正作業を進めつつある。内容面で、本研究計画の成果を可能な限り盛り込んだものになっている。 史学雑誌編集部の求めに応じて、小田中直樹『19世紀フランス社会政治史』の書評を作成して投稿し、編集部の査読を受け、掲載の許可が下りた。同書では、小田中が本研究計画の主たる調査先であるブルターニュ地方を分析の対象として取り上げている。そのため、本研究計画による実地調査とその分析結果に則して書評を執筆することができた。昨年中に修正済みの原稿に対して掲載が認められているが、その後、連絡がない状態が続いていて未掲載である。 2014年4月から12月にかけて、フランス革命とナポレオンの歴史をテーマに、朝日カルチャーセンター札幌で隔週の講義を行った。この場においても、特に宗教政策の回では、本研究計画の成果を多分に盛り込んだ内容とし、一般向けの成果の公表に努めた。 3月21日に東京大学で開催された、「深沢克己教授退職記念・公開談論集会─ 歴史・交流・他者 ─」で、第一部ラウンドテーブル(公開シンポジウム)のパネリストを務めた。内容的に、一次史料の実地調査の重要性を強調する報告を行い、その中で本研究計画による調査の成果に言及した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
数年来の懸案事項であった、研究成果を一般向けに公表するために単著の原稿を作成することが、予想外の作業量を必要としたため、本年度は大半の時間と労力をそれに費やす結果になってしまった。2015年5月には本務校でとある重大な案件を担当することとなり、夏休みにかけてその対応に忙殺された。さらに2014年末には、その無理が祟って体調不良に陥った。結果的に、研究目的の達成は大きく遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
フランスにおけるテロの発生など、研究計画を実施する上での環境は、計画立案時と比較すると困難を増している。本年度はまず既に収集した一次史料の分析を進め、研究論文の学界誌への投稿原稿の作成など、できることから作業を進めて研究計画の遅延を挽回する。
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Causes of Carryover |
複数の業者から相見積もりを取ることによって、パソコン関係の物品購入費を当初見込みよりも低く抑えることができたのはプラスの側面である。マイナスの側面としては、本年度は予想不能の要因により、計画に則した予算の執行が不可能になった。まずフランスで大規模なテロが生じ、現地の社会情勢が流動化したことを受け、フランス現地での実地調査を年度末に延期した。次に、2014年11月に体調を崩し、主治医に年度内の海外渡航を止められた。そのため、海外実地調査のための旅費を使用することが不可能になり、それに割り当てられていた予算が部分的に使用できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度の夏期休暇中に持病の精密検査を受け、主治医の許可が取れた場合、年度末にフランス現地での実地調査を本年度の当初予定よりも充実させて実施する。併せて、2015年度に予定されていた研究計画も、年度当初の遅れを挽回するために精力的に推進し、予算を計画に則して執行していく。
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