2015 Fiscal Year Annual Research Report
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24520858
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
大橋 泰夫 島根大学, 法文学部, 教授 (80432615)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 地方官衙 / 国府 / 郡衙 |
Outline of Annual Research Achievements |
古代日本の国家形成の過程を解明するために、国郡制の形成と深く関わる国府の成立について、国庁を中心に考古学的検討を行った。その結果、次の点を明らかにした。 ・国庁を中心にして、国府が全国的に成立するのは7世紀末から8世紀初頭である。初期国庁は、まず長舎を多用した長舎囲い型として創設される場合が多く、後にコの字形・品字形配置をとる定型化国庁として整備されていく。定型化国庁は、初期国庁の場所を踏襲して計画的に建て直され、断絶せずに9世紀以降に続くことがある。初期の国庁と郡庁は長舎を多用し、建物配置や構造が類似する。ほぼ同時期に政務・儀礼施設の政庁として創設され、国庁にならって郡庁が建設された場合がある。 研究の結果、コの字形配置をとる定型化国庁の成立時期は国ごとに異なる点も明らかになった。定型化国庁の成立は国ごとに異なり、8世紀後半以降に遅れる国もあり、全国一斉に同じ時期に画一的に整備されていない。 国府の形成過程において、大きな画期は初期国庁や曹司・国司館が創設されていく7世紀末~8世紀初頭頃である。初期国庁が断絶せずに、同じ場所で8・9世紀以降の定型化国庁に踏襲されていくことが複数の国で認められる。 国府が独立した官衙施設として成立した点は、単に官衙施設が造営されたとみるべきではなく、在地社会が大きく変容する契機でもあった。この背景としては国庁を中心にして国衙が設置され、国司が国府に常駐し国郡制に基づいて地域支配を行った点が大きい点を明らかにした。研究成果として、報告書(『国郡制と国府成立の研究』)を刊行した。
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Research Products
(1 results)