2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24520870
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
高 正龍 立命館大学, 文学部, 教授 (40330005)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 梵字 / 韓国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は個人申請ではあるが、東アジア梵字文化研究会のメンバーと行う共同研究の形をとっている。平成26年度も原則として月1度の例会を実施し、検討会を行ってきた。11月にはその成果として『歴史考古学』69号に2011・2012年度の韓国梵字調査をようやく刊行することができた。 本年度の韓国の現地調査は、高を含め梵字研究会のメンバー6名、韓国側から嚴基杓氏(檀国大学校教授)、金大煥氏(江南歴史文化研究所理事)、許仙瑛氏(安山大学校教授)の3名が合流し、共同で調査を実施した。通度寺・仏国寺・東国大学校博物館・国立慶州文化財研究所・大非寺・昌寧博物館・観龍寺・順天大学校博物館・香林寺・法興寺・龍門寺・玉泉寺・国立済州博物館・水精寺・法華寺・済州大学校博物館等の梵字資料を調査した。 文物に好まれて刻まれた真言は、六字大明王真言・破地獄真言・准堤真言・浄法界真言・三密真言といった比較的短い真言である。これらは現在六字大明王真言が南無阿弥陀仏のように繰り返し唱和されるように、これらの短い真言も唱和された可能性もある。 紀年銘資料を中心として梵字の字体を整理すれば、韓国の梵字は (1)悉曇の知識があれば何とか釈読できるもの、(2)チベット仏教の影響を受けたランチャ体、(3)朝鮮時代の独特な梵字の三つに大別することが可能である。これらの出現時期は(1)(2)(3)の順であらわれ、おおむね、(1)は高麗時代後期、(2)が高麗時代末期、(3)が朝鮮時代前期からであると理解できた。また、(3)朝鮮独特の字体に数種の異体字があり、梵字の字体が酷似する場合、同一工房、同一集団や工人系列を示すことが銅鐘の銘文の検討からわかっており、梵字を施されてはいるが、無銘の遺物の系統を考える上で重要である。
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