2012 Fiscal Year Research-status Report
地下式横穴墓から出土した人骨および人骨関連遺物に関する骨考古学的研究
Project/Area Number |
24520873
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kagoshima Women's Junior College |
Principal Investigator |
竹中 正巳 鹿児島女子短期大学, その他部局等, 教授 (70264439)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠田 謙一 独立行政法人国立科学博物館, その他部局等, 研究グループ長 (30131923)
下野 真理子 鹿児島女子短期大学, その他部局等, 助手 (10533474)
大西 智和 鹿児島国際大学, 国際文化学部, 教授 (70244217)
鐘ヶ江 賢二 鹿児島国際大学, 公私立大学の部局等, 非常勤実習助手 (00389595)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 地下式横穴墓 / 古墳時代人骨 / 骨考古学 |
Research Abstract |
地下式横穴墓は古墳時代の南九州を特徴づける墓制の一つであり、在地民の墓制である。この墓は霧島山麓周辺の内陸部から宮崎平野部、大隅半島にかけての地域で造営されたが、出土した人骨の数には地域的な偏りがあり、大隅半島や宮崎平野での出土数が少なかった。2010年から発掘調査が始まった鹿児島県鹿屋市立小野堀遺跡からはこれまでに150基を超える地下式横穴墓が検出されている。現在までに出土した人骨は7体と少ないが、大隅半島の古墳時代人の形質や文化等を解明する上で貴重な資料であり、今年度は、立小野堀遺跡から出土した人骨について計測および観察を行った。立小野堀遺跡地下式横穴墓群から出土した古墳時代人骨の特徴は低顔、低眼窩、広鼻であり、これまでに大隅半島の地下式横穴墓から出土した古墳時代人骨と大きな違いは現在の所ない。同時代の種子島の広田人とは異なる特徴を示ことがわかった。 その他、人骨の整理・復元、地下式横穴墓に関する考古学的情報収集およびDNA分析や同位体分析に必要な人骨の資料整備に取り組んだ。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地下式横穴墓から出土した南九州の古墳時代人骨を研究対象とし、生活や風習、栄養状態、葬送儀礼や習俗、人口などの骨考古学的研究に、総合的に取り組んでいる。形態だけではなく、遺伝子、食性、考古学や文化財科学など様々な分野や手法による研究に着手しており、本研究はおおむね順調に進展していると評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究目的達成のため、平成25年度もそれぞれの分担に従って、人骨の整理・調査・分析(骨と歯の形態、抜歯、mtDNA、年代測定、安定同位体、考古学的分析)、人骨関連遺物(糞石、ハエ蛹殻、櫛)の研究を進める。研究者間で相互に、できるだけ情報を共有し合いながら、研究を進める。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度研究費の中で次年度使用の研究費が生じた。これは、鹿児島・宮崎県下の人骨資料からのデータ収集が完全に終了しなかったことと、赤色顔料の付着過程の実験が季節の都合で行えなかったことによる。 平成25年度は、24年度に完全に終了しなかった鹿児島・宮崎県下の古墳時代人骨資料からのデータ収集および、赤色顔料の付着過程の実験を行う。加えて次の研究に取り組む。1.遺跡ごとの墓の数、それぞれの墓に埋葬された人数および考古学的情報から、南九州の地下式横穴分布域における人口や人口増加率の検討。2.mtDNAの分析のための資料の採取を引き続き行い、分析を続行。3.安定同位体についても分析を続行する。4.地下式横穴墓から出土した人骨や歯について、形態学的調査・分析を引き続き行う。骨形態、歯の形態、骨格のストレスマーカー、う蝕(虫歯)、歯周病、歯の咬耗状況、抜歯型式、他の生活習慣や作業習慣、加齢による骨形態の変形、骨格に残る病気や外傷痕、歯を作業に使用した痕跡に関するデータ収集を行う。5.糞石に関する情報交換を行い、肉眼的およびDNA、同位体分析を開始する。6.ハエ蛹殻からハエの種別同定、蛹殻の日齢を判定し、遺体を墓に納めるまでの期間を明らかにする。7.南九州の古墳時代に関する考古学的側面からの調査と分析を進める。
|
Research Products
(5 results)