2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24520879
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Research Institution | Kashihara Archaeological Institute , Nara prefecture |
Principal Investigator |
岡林 孝作 奈良県立橿原考古学研究所, 調査部, 総括研究員 (80250380)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 日本考古学 / 古墳時代 / 木棺 / 鎹 |
Outline of Annual Research Achievements |
古墳時代の木棺は刳抜式・組合式・釘付式の3系統に大別されるが、それらの系統を横断して使用された緊結用の金具として、5世紀に大陸から導入された鉄製の鎹がある。本研究計画は、古墳出土の鎹を集成し、その具体的な使用の部位や方法を復元的に検討するための基礎的資料の収集を行い、鎹使用のあり方、棺構造、棺と槨の関係などを整理した上で、日本における鎹の出現と展開を、古墳時代木棺の総体的な展開過程、さらには東アジアにおける棺槨の大きな流れの中に位置づけることを目的とする。 最終年度である本年度は、昨年度に引き続き、主として文献収集による古墳出土の鎹と出土古墳の発掘調査データの収集、出土鎹資料の詳細な観察に基づく調書作成等を実施した。保管機関における作業は、中・後期古墳出土の事例を中心に、のべ11機関に赴いて行い、簡易な実体顕微鏡等を使用して、鎹そのもの、および付着した木質の詳細な観察とともに、調書の作成、画像データ等の収集を行った。 3年間にわたる一連の作業の結果、鎹の出土状態、鎹に付着する材(の痕跡)の類型化、その他の付着物、鎹そのものの変形などに着目し、それらの情報をパターン化して整理、検討することで、鎹の具体的な使用法を明らかにする方法論を確立することができた。結論的には、鎹の使用法には中期古墳に特有のあり方と後期古墳に特有のあり方があり、棺形態の上でも、前者は割竹形木棺・長持形木棺、後者は釘付式木棺を主体とする点で差異があることを明らかにした。少なくとも前者の使用法は、朝鮮半島東南部の木槨墓や石槨墓に顕著に見られるあり方と共通する。また、鎹を使用した木棺構造についても、従来あまり知られていなかった細部についての復元案を示すことが出来た。これらの成果については研究成果報告書として取りまとめ、公表した。
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