2012 Fiscal Year Research-status Report
ジオマイクロデータを用いた積雪寒冷地都市内部における冬季災害時避難の地理学的研究
Project/Area Number |
24520883
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
橋本 雄一 北海道大学, 文学研究科, 教授 (90250399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仁平 尊明 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (60344868)
深田 秀実 小樽商科大学, 商学部, 准教授 (40547866)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 災害 / 避難 / GIS / 地理空間情報 / 積雪寒冷地 / 衛星測位 / ジオマイクロデータ / 都市計画基礎調査 |
Research Abstract |
本研究は,積雪寒冷地の都市内部で生起した「人口の都心回帰」現象による構造変容が,都市住民の防災や災害時避難に与える影響を明らかにすることを目的とする.平成24年度は,北海道の小樽市と釧路市において,以下の(A)~(E)を実施した. (A)文献収集と理論研究:「人口の都心回帰」現象および「災害への社会的脆弱性」に関する文献収集と理論研究を行い,申請研究の方法論に関する検討を行った.(B)土地利用および人口による「人口の都心回帰」現象の時系列的分析:小樽市と釧路市に関して,都市計画基礎調査や電子道路地図などの土地利用情報と,国勢調査などの人口情報を時系列的に収集してGISで時空間データベースを構築し,これらの変化を,分析することにより,「人口の都心回帰」現象の動態的な把握を行った.(C)避難施設とその理論的圏域に関するジオマイクロデータの収集と分析:避難施設と詳細道路データを使用し,ネットワークボロノイ領域分割法を用いて施設への近接性を重視した各避難施設の理論的利用圏域を設定した.(D)住民の避難行動に関するジオマイクロデータの収集と分析:擬似的な避難者により, GPSによる避難時の行動履歴データを収集し分析した.また,この分析を積雪のない夏季と積雪のある冬季で行い,結果を比較することで,季節差についての検討を行った.(E)自治体および住民組織の防災活動に関する分析:自治体および町内会の防災計画に関する資料を収集し,特に,冬季避難に関してはヒアリング調査などに関して町内会の防災担当者に対してヒアリング調査を行った. 以上の結果から,都市の構造変容が災害時避難を困難にしつつある状況を明らかにし,その要因について考察を行い,都市の構造変容と災害に対する社会的脆弱性との関係について空間的な視点で議論を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,小樽市,釧路市,札幌市の3市を対象にして,土地利用および人口の時系列的分析,避難施設とその理論的圏域に関する分析,住民の避難行動に関する分析を3年間かけて行う予定である.そのために,1年で1つの市の分析を終える予定であった.しかし,今年度は釧路市と小樽市において,積雪期も非積雪期も調査を行うことができ,予定していた分析の大部分を終えることができた.その点で,本研究は計画以上に進展したと言える. しかし,調査や分析を進めるうちに,3市の分析だけでは不十分であることが判明した.具体的には,釧路市や小樽市だけでなく,海岸付近の津波想定地域で,もっと活発な都市開発が行われている地域を対象にした分析を加える必要があると考えられた.そこで,釧路市で行っている分析を複数市町村に拡大することで,この問題に対処することを計画している.この追加調査や分析の労力および時間を考慮すると,本研究は「おおむね順調に進展している」と考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,内陸部の都市の事例として北海道札幌市都心部を対象地域とし,(A)文献収集と理論研究,(B)土地利用および人口による「人口の都心回帰」現象の時系列的分析,(C)避難施設とその理論的圏域に関するジオマイクロデータの収集と分析,(D)住民の避難行動に関するジオマイクロデータの収集と分析,(E)自治体および住民組織の防災活動に関する分析を実施する. 札幌市は豪雪地に約190万人が居住する世界でも稀な大都市であり,近年,その都心部を取り囲んで高層マンションが多数立地し,人口が急増している.もし,冬季に石狩低地東縁断層帯や月寒断層などを震源とする直下型地震が発生した場合,避難施設の収容能力不足というが問題を生じさせる.そこで本研究では冬季の地震災害を想定し,札幌市危機管理課の被災想定データを使用して研究を進める. 特に,(B)・(C)の土地利用,人口,避難場所に関する分析では,都心部で急増する人口により避難場所の収容能力不足が深刻化している状況を明らかにする.ここでは,釧路市や小樽市と同様の手法により,GISで各避難場所の理論的利用圏域を推定し,その中で居住者数に比して避難施設の収容定員が特に小さい圏域を事例として,その内部の冬季避難環境や,(D)の避難時の行動履歴データに関する分析を行う.また,(E)の自治体および住民組織に関する分析でも,この避難場所の収容能力不足に焦点を当てる. これに加えて,平成24年度に釧路市で行った分析を,複数市町村に拡大して実施する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし.
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Research Products
(23 results)