2013 Fiscal Year Research-status Report
ジオマイクロデータを用いた積雪寒冷地都市内部における冬季災害時避難の地理学的研究
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24520883
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
橋本 雄一 北海道大学, 文学研究科, 教授 (90250399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仁平 尊明 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (60344868)
深田 秀実 小樽商科大学, 商学部, 准教授 (40547866)
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Keywords | ジオマイクロデータ / GIS / 津波 / 避難 / 積雪寒冷地 / 避難困難地域 / ネットワークボロノイ / 釧路市 |
Research Abstract |
津波災害時の避難体制最適化に向けた地域モニタリングシステムを構築し,除雪の最適化に貢献する可視化技術および空間分析技術を開発した。具体的には,(1)津波想定域の可視化技術開発,(2)ネットワーク空間での避難困難地域の抽出法開発,(3)スタンドアローン避難ナビアプリの開発および避難行動ログ収集方法の開発,(4)避難行動の障害に関する空間分析技術開発を行った。 (1)津波想定域の可視化技術開発では,北海道が発表している津波想定データをGISにより可視化し,低コストでハザードマップを作成する技術を開発し自治体に提供している。(2)ネットワーク空間での避難困難地域の抽出法開発では,GISによりネットワークデータにボロノイ領域分割およびバッファ生成を適用し,災害時避難で避難施設のスペースが不足する地域や,避難場所への到達困難な地域を抽出する手法を開発した。この手法については,北海道総務部危機対策課の減災ワーキンググループにおいて成果の利用を進めている。(3)スタンドアローン避難ナビアプリの開発および避難行動ログ収集方法の開発では,タブレット端末を利用し,災害発生時のネットワークに接続できない環境下でも機能する避難ナビを開発した。これを冬季と夏季の疑似避難訓練で使用し,衛星測位による避難行動ログを収集した。(4)避難行動の障害に関する空間分析技術開発では,GISによるログ解析によりミクロスケールでの避難行動における障害の特定を行った。実験では,冬季と夏季の疑似避難訓練における結果を比較することで,積雪の有無による避難行動の障害の相違を明確化した。 以上のように今年度は,ネットワークに依存しない環境下での各種システムの構築およびアプリ開発を行い,積雪寒冷地での災害発生時に自助・共助を最適化するための公助のあり方(特に除雪に関して)を考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(A)「人口の都心回帰」現象および「災害への社会的脆弱性」に関する文献収集はほぼ終了し,現在は理論研究を行っている。(B)土地利用および人口による「人口の都心回帰」現象の時系列的分析では,都市計画基礎調査や電子道路地図などの土地利用情報と,国勢調査などの人口情報を時系列的に収集してGISで時空間データベースを構築した。現在は,当該データベースによる分析を進めている。(C)避難施設とその理論的圏域に関するジオマイクロデータの収集と分析は,ほぼ終了し,ネットワークボロノイ領域分割法による避難施設の利用圏域設定や,避難困難地域の抽出を進めている。(D)避難行動に関するジオマイクロデータの収集と分析では,GPSによる避難時の行動履歴データを収集しつつあり,釧路市に関する避難障害の分析は終了している。(E)自治体および住民組織の防災活動に関する分析では,ヒアリング調査はほぼ終了し,現在分析を進めている最中である。 以上のように,平成25年の作業は終了し,平成26年の作業の準備も済んでいるため,上記評価と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
内陸部の都市の事例として取り上げた北海道札幌市都心部における人口および土地利用分析を進め,積雪寒冷地に位置する大都市での,都市開発と災害リスクとの関係を,さらに詳細に分析する。 加えて,都市周辺部の事例地域として小樽市を取り上げ,避難困難地域の抽出と,避難行動の障害の明確化を行う。 さらに,これまでの結果の統合と理論化に取り組み,都市の構造変容と災害に対する社会的脆弱性についての総合的な議論を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究代表者が発注した「試作版津波ナビゲーションシステム賃貸借1式 80,000円」は3月31日までの業務となるため,北大での支払処理が4月30日になされることから,当該年度の実支出額に反映されなかった。また,研究分担者(小樽商科大学)の購入した図書および消耗品(トナー,ファイルボックス)の支払い70,409円に関する会計処理が遅れたため,当該年度の実支出額に反映されなかった。 研究代表者が発注した「試作版津波ナビゲーションシステム賃貸借1式 80,000円」は北大で平成26年4月30日に支払処理がなされる。また,研究分担者(小樽商科大学)の購入した図書および消耗品(トナー,ファイルボックス)の支払い70,409円に関する会計処理は,すでに終了している。
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Research Products
(25 results)