2014 Fiscal Year Research-status Report
東日本大震災による被災地域の水産業・水産加工業の復興に関する研究
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24520885
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
初澤 敏生 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (10211476)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 水産業 / 風評被害 / 地域HUCCP |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は東日本大震災の被災地の水産業及び水産加工業の復興に関する調査研究を進めるものであるが、被災地においては調査に入るのが難しく、昨年度は新規の調査を行うことができなかった。そのため、平成26年度には、これまでに収集した資料及び調査データをとりまとめて、学会発表及び論文化の準備を進めた。 特に中心的に研究を進めたのは、北海道標津町において行われている主に鮭を対象とする製品管理システムである、地域HACCPである。これは主に食品の衛生管理の厳格化を目指したものである。標津町の地域HACCPは、隣接する別海町で発生したイクラの醤油漬け製品によって引き起こされたO157食中毒事件に端を発する風評被害対策として生まれたものである。すなわち、製品の安全管理の厳格化を通して風評被害からの脱却を目指したのである。これは福島県の水産物に対する風評被害対策に応用することができる。標津町の地域HACCPの導入の経緯と制度の特徴、成果と課題などを明らかにすることは、今後の水産物の風評被害対策として大きな効果を上げることができると考える。 これまでの資料分析から、地域HACCPの導入後、標津町のサケの販売単価が相対的に上昇していることを明らかにできた。これは地域HACCPが単に風評被害対策にとどまらず、その地域の製品に対する信頼度を高め、水産業振興に結びつくことを示している。今後は、これをエコ・ツーリズムなどと結びつける可能性などについても検討を加える。 なお、これらの成果に関しては平成27年度中に発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東日本大震災による被災地を対象としているため、実態調査が難しく、調整に時間がかかっている。平成26年度においては、うまく調整を付けることができず、実態調査を見送らざるを得なかった。その結果、予定していた予算の執行を含め、進度がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、被災地の実態調査を進めていく。ただし、今後は予定通りに進行しない可能性も考慮し、その他の調査方法も並行して進めたい。具体的には、行政資料等の活用による実態調査以外の方法での情報収集、被災地の振興に応用が可能と思われる被災地以外の理行きにおける事例調査、などを進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
進捗度の所でも述べたが、被災地の実態調査を行うための調整が付けられず、調査を行うことができなかった。ぎりぎりまで可能性を追求した結果、他の用途への支出を行う余裕もなくなり、結果として残金とせざるを得なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度中にできる限り進捗の遅れを取り戻すために、実態調査を詰めて行う予定である。また、実態調査以外の手段での情報収集を行うための旅費や資料収集費としても使用する予定である。
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