2013 Fiscal Year Research-status Report
ドイツ中小都市における商業集積地の存立構造に関する地理学的研究
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24520892
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
川田 力 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (30263643)
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Keywords | ドイツ / 都市 / 商業 / 地理学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ヨーロッパ諸国の都市との激しい国際的都市間競争下に置かれているにも関わらず、持続的に発展しているとされるドイツの中小都市を事例として、ローカルな社会空間構造の変容と都市マネジメント戦略の両面から商業集積地の存立構造を検討することにある。具体的には、各都市の行政組織の有する権限・政治的状況の差異、都市内部の各地区の社会空間構造の地域的差異、および、よりローカルな範囲でのステークホルダーの意識と対応の差異が、商業集積地の持続発展プロセスにいかなる影響を与えるのか を解明しようとするものである。 本研究は、都市の社会・経済的変化を端的に示すと考えられる商業集積地の存立構造に注目して、ドイツの中小都市において地方行政組織・都市マネジメント組織・商業組合・商業経営者、住民等の実態調査を実施することにより、都市間競争への対応と都市の持続 可能性への対応という2つの政策課題の調整状況と、各ステークホルダーの協働的相互関係に基づく都市マネジメントの現状を把握し、商業集積地の存立構造に関わる地域的要因を解明しようとすることに特色がある。 本年度は、上記の目的を達成するため、ドイツを訪問し、事例調査候補都市を巡回し事例調査都市をハイデルベルク市、フランクフルト市、ダルムシュタット市に絞り込むとともに、比較対象都市を検討した。また。既に事例調査の準備が進んでいるハイデルベルク市での現地調査プログラムを参考にしつつ、現地調査実施プログラムを検討した。 フランクフルト市においては商業集積地の概要、商業振興計画、都市計画、国際的な都市間の競争・持続的な発展への対応、地方行政組織の構造と保有権限などに関する資料収集を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度には、ドイツを訪問し、事例調査候補都市を巡回し事例調査都市の絞り込みを行うとともに、現地調査実施プログラムの検討を終了した。事例調査都市のひとつであるフランクフルト市においては、ドイツの商業集積地の分析に有効な、商業集積地の概要、商業振興計画、都市計画、国際的な都市間の競争・持続的な発展への対応、地方行政組織の構造と保有権限などに関する資料収集を実施した。2都市の現地調査は未実施であるものの、この2都市についても、同様の資料の所在は確認しており、既に次年度の現地調査の具体的日程まで決定しているため、おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下の計画で研究を進める。 1.事例調査の実施: 既に実施した現地調査プログラムと同様の手法で、事例調査都市における社会経済的状況、商業集積地の概要、商業振興計画、都市計画、国際的な都市間の競争・持続的な発展への対応、地方行政組織の構造と保有権限、都市の政治的状況、自治的組織・住民活動パフォーマンスの状況などについての詳細な現地調査を実施する。具体的な調査は各都市における行政担当者、商業組合、商業経営者、住民代表、都市マネジメント組織などへの聞き取り調査及び資料収集を実施する。 2.調査結果の分析と補足調査の実施: 現地調査の結果をとりまとめ、必要な情報はPCを利用して地図化処理を加え、新たな都市空間再編事業の進展状況の地域的差異およびその要因と他地域への波及効果について分析する。その際、必要に応じて事例調査都市および比較対象都市において補足調査を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ドイツにおける現地調査を3都市で実施する予定であったが、当該都市のステークホルダートの調査日程の調整が難航したため、2都市での現地調査を翌年度に延期したため。 既に、2014年5月にドイツにおける現地調査を実施することが決定している上、現地調査の分析を踏まえて、追加調査を実施する日程も準備してあるため、計画通り研究を遂行し、当初計画に沿って助成金を使用する予定である。
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