2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24520897
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
長尾 謙吉 大阪市立大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (50301429)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立見 淳哉 大阪市立大学, 人文社会系研究科, 准教授 (50422762)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 経済地理学 / 技術 / 距離 / 近接性 / 産業集積 / 国際分業 / コンヴァンシオン / 国際研究者交流 フランス |
Research Abstract |
経済の空間的・地理的側面に社会科学の様々な分野から関心が高まっている。地理学系の経済地理学に求められるのは、地理的な繊細さを持ちつつ特定の経験的過程を説明する一般的な方法論を磨くことである。 本研究は、「技術変化と企業間距離に関する経済地理学的研究」を課題とし、入手が困難な企業関係資料を独自のインタビューおよび民間調査機関との協力関係のもと得られるデータを活用し、輸送技術と生産技術の変化のもとで企業間の近接性に関するダイナミズムを技術‐組織(企業)‐領域(地域)の三位一体的にとらえることを試みる。 平成24年度の成果としては、まず方法論的な観点に関する議論を進めた。研究代表者と研究分担者の共著論文「グローカル化、格差、コミュニティ」では、グローバリゼーション下の繁栄と格差について経済地理学的観点から考察し、都市・地域経済の再構築についてコンヴァンシオン理論をふまえ展望した。グローバルとローカル、社会とコミュニティ、市場と互酬性、という相違する要素をいかに結合して地域経済の展望を得るかが重要なことを提示した。同論文では距離に関して、トーマス・フリードマンによる『フラット化する世界』を題材として批判的に考察したうえで、地理的近接性と認知的近接性を用いて集積と分散の力学を示した。 平成25年6月に東京で開催される経済地理学会第60回記念大会およびフランスで開催される「経済地理学の潮流と理論」国際会議において、方法論的な観点と例証とする事例を報告するべく準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
方法論的な議論については、既存の成果を踏まえながら平成24年度の成果を論文や平成25年度に学会報告する要旨や予稿集に執筆することができた。これらは計画以上に進展している。 企業間関係に関するデータを用いて分析については、既存研究の改善という面では進展しているが、新機軸を示すだけの準備作業にはまだ進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、学会報告において方法論的議論を進捗させる。当年度には、平成24年度から継続して、企業間関係に関するデータを用いて、企業(事業所)間連関を地図化し地理的距離を計測する。計測作業を通じて、産業や製品に応じた地理的距離や近接性の度合いの違いを明示する。産業活動の特性と地理的距離についての関係を明らかにする。直近のデータだけではなく、技術変化が生じる以前の時期との比較を行い、研究テーマである「技術変化と企業間関係」の変化をとらえる。 平成26年度には、学会報告や論文投稿を通じて成果の積極的な発信を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に入手可能となる企業調査会社資料を購入する。 平成25年6月にフランスのパリで開催される「経済地理学の潮流と理論」国際会議に参加し研究報告を行う。
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Research Products
(6 results)