2012 Fiscal Year Research-status Report
発展途上国の農村開発研究への地理学的アプローチ:貧困削減と環境保全の両立に向けて
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24520900
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
牧田 りえ 立教大学, 21世紀社会デザイン研究科, 准教授 (20585450)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 農村開発 / 貧困削減 / 環境保全 / 目的・手段関係 / 開発地理学 / 農村地理学 / ポリティカル・エコロジー |
Research Abstract |
1.関連文献の収集、分析:合計35誌の査読付き英文ジャーナル(地理学ジャーナル9誌、環境・自然資源に焦点を当てているもの7誌、農村・農業に焦点を当てているもの8誌、発展途上国の開発と環境を視野に入れているもの11誌)の中から、特に自然資源管理と経済活動との関係について理論化を試みた既刊論文を探し、レビューを行なった。 2.論文執筆:サブテーマの一つである「農業振興と生計多様化との関係」に焦点を当てた論文をフィリピンの事例を用いて執筆した。すでに英文ジャーナルに投稿済み、審査中である。 3.海外・国内研究者との意見交換:上記論文のドラフトにコメントをもらう形で、欧米の研究者3名と意見交換を行なった。そのうちの1名にはセカンド・オーサーとして投稿論文に参加してもらうことになった。さらに、同論文を基により多くの海外研究者と意見交換を行なうため、次年度に開催される国際学会(Regional Conference of the International Geographical Union)での口頭発表に申し込み、これが受理された。また、国際開発学会全国大会で、同じ関心を持つ研究者3名と企画セッションを設け、上記フィリピンの事例を発表すると共に、今後の事例横断的分析の可能性について意見交換を行なった。 4.これまでの研究成果の発表:フェアトレード認証と有機認証の果たす役割について招待講演、及び図書の一部を執筆する機会をいただき、研究者だけでなく、実務者や消費者として貧困削減と環境保全に関心を持つ聴衆・読者に研究成果をフィードバックした。 5.海外現地調査の準備:貧困削減と環境保全の両立というテーマをより普遍的に捉えるため、新たに、農村貧困層が関与する薬草の収集・栽培・販売・利用に関する事例研究の準備を開始した。関連情報の収集とともに、現地調査の一部をインドで実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は文献サーベイに重点を置いたので、進捗を妨げる要因は特になかった。 また、本研究では同分野(地理学)の国内外の研究者との交流が大きな意味を持つが、次年度に関連国際学会が日本で開かれることはタイムリーである。同学会への参加を一つの目標にして準備を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.海外研究者との意見交換:すでに口頭発表が受理されている国際学会(Regional Conference of the International Geographical Union 2013)でのセッションを活用し、同じ関心領域を持つ地理学者との交流を深めたい。また、南アフリカへの現地調査(後述)のための渡航を利用して、南アフリカ大学の開発研究分野の研究者らと意見交換を行なう予定。 2.引き続いての文献資料の分析:すでにピックアップした前述の35誌のジャーナルの新着論文をチェックしながら、自然資源管理と経済活動との関係についての既存の理論・命題を整理し、レビュー論文としてまとめる。 3.海外現地調査の実施:研究代表者がこれまでに実施したフェアトレード・有機認証に係る事例研究、及び上記レビュー論文を補足する形で、薬草をめぐる貧困層の生計に焦点を当てた現地調査をインド、及び南アフリカ(調査地に変更の可能性はあり得る)で実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度末に実施したインド現地調査に要した費用の一部は精算が年度内に間に合わなかったため、次年度に繰り越した研究費から使用する。 平成25年度の計画 1.国際会議への参加:国際会議の登録料、参加に伴う旅費。2.海外現地調査の実施:海外出張に伴う旅費。調査協力者への謝金。3.文献の購入:引き続き、関連書籍・論文の入手が必要。海外の現地調査時に購入する分も含む。4.英文校閲料:論文ドラフト等はすべて英文になるため、随時、必要。5.文具、その他の消耗品の購入、複写料。
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Research Products
(5 results)