2014 Fiscal Year Research-status Report
都市におけるソーシャルマイノリティの文化・社会・政治的特性の観光資源化
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24520901
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
吉田 道代 和歌山大学, 観光学部, 教授 (40368395)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 都市観光 / シドニー / 階級 / エスニシティ / セクシュアリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度には、文献資料の収集を継続するとともに、シドニーで調査(3月14~25日)を行った。現地調査では、一つには、同性愛者の政治活動・集住地の観光資源化に焦点を当て、日本での文献検索では見つかりにくいオーストラリアの国内で出版された資料(シドニーの同性愛者コミュニティの形成、文化・ライフスタイルの変化、オーストラリアのLGBT観光に関する書籍)を収集し、シドニーの同性愛者コミュニティに詳しい方々および関係者への聞き取りも行った。聞き取り調査では、シドニーの同性愛者コミュニティの歴史、地方自治体との関係、シドニーLGBTQIマルディグラの初期の状況と同性愛者コミュニティ内部におけるこのイベントの方向性をめぐる意見の違いと背後にある政治的意図についての詳細な情報を得た。また、この現地調査においては、エスニシティの観光資源化に関わる移民の集住地の視察を行うため、ライカート(シドニーのイタリア系住民のかつての代表的集住地)、カブラマッタ(国内最大のベトナム系住民の集住地)を訪問した。 調査結果に関しては、昨年度までの調査実施分を基に観光学術学会大会で「セクシュアルマイノリティへのホスピタリティをめぐる政治と観光ビジネス」のタイトルで口頭発表を行い、論文「同性愛者への歓待~見出された商業的・政治的価値~」(『観光学評論』3巻1号 35-48頁)を刊行した。また、本年度の調査結果の一部は、次年度刊行予定の『地理』5月号の論稿「LGBT観光~ニッチ(隙間)市場を超えて~」にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
労働者の過去の居住地や就業地の保存(ロックスなどの保存プロジェクト)と観光資源化については、まだ聞き取り対象者を得られていないが、エスニシティおよびセクシュアリティに関わる観光については、聞き取りを含め、調査はおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度のおいては、ベトナム系住民の多いカブラマッタに関わるイメージや観光について調査を進め、ロックスを中心とする労働者の政治活動や遺産としての保存と観光資源化について、より深い調査を行いたい。
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Research Products
(3 results)