2014 Fiscal Year Annual Research Report
石干見の文化資源としての位置づけとそれをめぐる国際的研究ネットワークの構築
Project/Area Number |
24520902
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
田和 正孝 関西学院大学, 文学部, 教授 (30217210)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 石干見 / 伝統漁法 / 保存と活用 / 文化遺産 / 石干見サミット / 国際会議 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度の調査研究として、2014年4月に長崎県島原市長浜において開催された第4回石干見(スクイ)まつりに参加し、主催者である「みんなでスクイを造ろう会」の準備作業からイベントの終了まで参与観察し、あわせて聞き取りを実施した。また、参加者に対してイベントに対するアンケート調査をおこなった。2014年7月には「みんなでスクイを造ろう会」第7回総会にオブザーバーとして参加し、会の活動について情報を得た。これらの研究によって、石干見をめぐる保存と活用の実態を理解することができた。2015年10月には「みんなでスクイを造ろう会」が中心となって、第5回「石干見サミット」を島原市で開催する予定である。2014年9月には、そのための趣意書作り、内容の精査などに関してアドヴァイスを求められた。これを通じて石干見を保全、活用する国内諸団体とのネットワークづくりを進めることができた。 2015年3月には、フランスのオレロン島にて石干見の調査を実施した。本島には古くから石干見漁法が発展していた。現在も17基が残り、これらは漁業活動に主として利用されなくはなっているものの、それぞれコミュニティーごとに関係者(漁業者とその後継ぎ)が保存、活用している。また、地域の重要な文化遺産としても位置づけられている。今回の調査では石干見を直接観察し、漁具構造を把握するとともに、利活用の現状について情報を得た。石干見を保存するために組織されたInternational Ancient Fishing Weir の会長であるBernard Debande氏および、本会の設立者でオレロン島の漁家出身であるMathieu Verrat氏と交流し、両氏の案内で島内の海岸部全域を見学し、両氏から石干見にまつわる様々な情報と資料を得ることができた。今後の石干見に関する国際会議開催についても意見交換した。
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