2013 Fiscal Year Research-status Report
東日本大震災以後の在日フィリピン人カトリック共同体のネットワーク化の研究
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24520921
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
寺田 勇文 上智大学, 外国語学部, 教授 (20150550)
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Keywords | 東北大震災 / 被災者 / フィリピン人 / カトリック教会 / 多文化社会 / 外国人 |
Research Abstract |
第2年度にあたる平成25年度は、前年度にひきつづき、岩手県大船渡市のカトリック大船渡教会を中心に、東日本大震災後にフィリピン出身者により設立されたPAGASA(日本語で希望の意味)というグループの活動を中心に調査を継続した。PAGASAのメンバーは大船渡市、陸前高田市在住者で構成されている。 また、PAGASAのリーダーたちが、国内各地のカトリック教会その他から招聘され、東日本大震災の被災状況やその後の復興、フィリピン出身者たちの活動について報告や講演をする機会が少なからずあり、報告者はできうる限りそうした会合や集会(岡山県津山、宮城県仙台など)を見学し、被災とその後の復興、フィリピン出身者のネットワーク化についての当事者の見解、語りを理解するように努めた。 さらに、福島県下のフィリピン出身者のカトリック共同体の活動、東北大震災の被災地とはならなかったが、1980年代から多数のフィリピン出身者の女性が暮らしている山形県、とくにカトリック山形教会を数回にわたり訪問し、フィリピン出身者が大多数をしめる同教会の成立の経緯について調査をおこなった。年度の後半には東京、関西、東北各地で関係者のインタビューを開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度から東北各地のフィリピン出身者の共同体等を訪問し、一定の信頼関係を築くことができていたので、2年度目にはいり、個々のインタビューなどは順調に進めることができた。インタビュー対象者はフィリピン出身者、カトリック教会の日本人および外国人の司祭、シスター、さらに日本人信徒指導者等である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である第3年度には、さらにインタビューを進めるとともに、東北被災地の外国人、とくにフィリピン出身者の被災状況、被災後の状況、カトリック教会を媒介としたネットワーキングの状況についてまとめたいと考えている。また、被災後に被災という共通体験のなかから生まれたフィリピン出身者の活動と、被災とは関係ないが、1980年代よりフィリピンからの花嫁さんが増加していた山形県のカトリック教会の状況を比較しながら、フィリピン出身者のネットワーキングの在り方を考察したい。参与観察等はこれまで通りに継続する。
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