2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24520930
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
飯田 淳子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 教授 (00368739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 光穂 大阪大学, 学内共同利用施設等, 教授 (40211718)
松岡 秀明 淑徳大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (80364892)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 緩和ケア / 人類学 / 感覚 |
Research Abstract |
1.文献研究:緩和ケア、医療人類学等に関する先行研究の再検討を行い、(1)フィールドワークに基づくエスノグラフィ・人類学的研究の蓄積が少ないこと、(2)特に日本をフィールドとした研究は萌芽的に見られるのみであること、(3)患者と治療者の苦悩やケア、相互行為の身体的経験を扱ったものは少ないことを確認した。 2.倫理審査:飯田は2012年9月14日に岡山県のA診療所で倫理審査を受け、本研究についての承認を得た。松岡は東京のB病院ですでに承認された研究の継続として本研究を行うことを認められている。 3 フィールドワーク:上記施設においてフィールドワークを開始した。本年度は参与観察を通して、緩和ケアの現場をできる限り包括的に理解することに努めた。松岡は緩和ケア病棟におけるケアの場面の観察、医療従事者間のコミュニケーションの観察、資料の閲覧、各種会議・勉強会・さまざまな催し物への参加等々を可能な範囲で行った。飯田は上記施設でボランティア養成講座を受講後、ボランティアの一人として週1回程度同施設に通い、病棟ラウンジでのお茶会をはじめ、多彩なボランティア活動に参加し、感覚的刺激を伴う活動の心理・社会的効果や、感覚的刺激の受容のされ方の固有性とその背景などに関する知見を得た。 4 研究会:合計3回の研究会を開催した。1回目は2012年5月12日に東京で実施した。飯田が「問題設定と研究の射程」というタイトルで発表を行い、今後の方向性について議論した。2回目は2012年11月3日に大阪で、第40回臨床実践の現象学研究会と合同で開催した。松岡が「よき死(Good Death):緩和ケア病棟のエスノグラフィーから」というタイトルで発表を行った。3回目は2013年3月2日に大阪で、第43回臨床実践の現象学研究会と合同で実施した。飯田が「緩和ケアの感覚的経験に関する人類学的研究」というタイトルで発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
飯田・池田に関してはおおむね順調に進展している。研究実績の概要に記載したように、飯田は本研究の初年度、当初の予定通り、文献研究を進め、倫理審査を通過し、フィールドワークを開始し、中間報告を既述の各種研究会で行うことができた。調査対象施設側の協力により、ボランティアを行いながらの参与観察も予定通り進めている。池田も文献研究を行い、研究会の席上だけでなく、折にふれEメール等で飯田と松岡に助言を行っている。ただし、松岡は体調不良により当初の計画通り進展させることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度は文献研究・フィールドワーク・研究会を継続して行い、26年度には国内外の学会等での成果発表を目指す。25年度の実施計画は以下のとおりである。 1.文献研究:緩和ケア、医療人類学、現象学等に関する文献の検討を続け、フィールドと理論とを往復する。 2.フィールドワーク:上述の施設で参与観察を続けるとともに、患者とその家族、医師、看護師、リハ職、介護士、ボランティア等のケア提供者に対してインタビューを行う。死に臨む人と看取る人の苦悩や、ケアの際の相互行為の感覚的経験、社会的環境との関係などの事柄に焦点を絞って観察や聞き取りを行う。聞き取りは、ある程度項目を定めて多数の人を対象にしたものと、キー・インフォーマントへのライフヒストリーを含めた深い聞き取りの両方を行う。データの整理や分析を順次行いつつ、各々合計50日程度のフィールドワークを行う予定である。 3.研究会:初年度と同様の要領で研究会を3回程度行い、各段階での結果について討議する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.上述の文献研究のための図書購入に研究費を使用する。 2.上述のフィールドワークに際し、調査地までの交通費、研究協力者への謝礼品、音声反訳(インタビューの文字おこし)代等に研究費を使用する予定である。松岡は24年度に体調不良で当初の計画通り進展させることができなかったが、体調は回復したため、実施できなかった分の調査も実施する。 3.上述の研究会のための旅費に研究費を充てる。
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Research Products
(10 results)