2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24520930
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
飯田 淳子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 教授 (00368739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 光穂 大阪大学, コミュニケーションデザイン・センター, 教授 (40211718)
松岡 秀明 大阪大学, コミュニケーションデザイン・センター, 招聘教授 (80364892)
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Keywords | 緩和ケア / 人類学 / 感覚 |
Research Abstract |
25年度は文献研究・フィールドワーク・研究会を継続しておこなった。 1.文献研究:緩和ケア、医療人類学、現象学等に関する文献の検討を続けた。 2.フィールドワーク:昨年度に引き続き、飯田は岡山県のA診療所で、松岡は東京のB病院で、各々合計50日程度のフィールドワークをおこなった。昨年度得られた現場の包括的理解をふまえ、今年度は死に臨む人と看取る人の苦悩、ケアの際の相互行為の感覚的経験、社会的環境との関係などの事柄に焦点を絞って観察や聞き取りを行った。飯田はボランティアとして参与観察を続ける他、看護師、リハ職、介護士等の専門職に同行し、それら専門職と患者およびその家族との相互行為を観察した。松岡は緩和ケア病棟におけるケア場面の観察、医療従事者間のコミュニケーションの観察、資料の閲覧、各種会議・勉強会・さまざまな催し物への参加等々を可能な範囲で行う他、患者やケア提供者に対してインタビューをおこなった。また、松岡は飯田の、飯田は松岡の調査施設の見学をおこない、比較することにより、それぞれの調査施設を相対化し、その特徴を明確化するヒントを得た。さらに、飯田はA診療所が長年にわたって影響を受けてきたイギリスのホスピスの見学をおこなった。こうしたフィールドワークと並行して、データの整理や分析を順次おこなった。 3.研究会:今年度は研究会を合計3回行い、各段階での結果について討議した。1回目は2013年6月22日に大阪で開催した。松岡・飯田が個別に中間報告を行い、その内容について池田とともに意見交換を行った。2・3回目は松岡と飯田がお互いの施設見学をおこなった前後に経過報告と今後の打ち合わせをおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
飯田は今年度後半からインタビューを開始する予定であったが、開始することができなかった。理由は、参与観察を行う中で当初予期していなかった事柄を観察する必要に迫られたこと、また、インタビュー前に義務付けられた倫理審査が、外部審査委員の体調不良や調査施設長の海外出張などにより大幅に遅れたことなどが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
①調査:最終年度は調査の仕上げを行う。特に飯田は前年度開始できなかったインタビューを集中的に行う。 ②研究会:3回程度の研究会を行う。後半の2回は論文草稿を発表し、それをめぐって討議をおこなう。発表者は寄せられるコメントを考慮しながら最終稿の執筆を進める。 ③成果発表:成果を学会や研究会等で発表する他、学術雑誌への投稿を目指す。学会発表はInternational Union of Anthropological and Ethnological Sciencesで行う予定である。また、臨床実践の現象学研究会等でも発表を行い、意見交換を行う。さらに、調査施設での勉強会などで成果を発表し、現場に成果を還元すると同時に現場の人々からの意見や批判を仰ぐ。これらの学会・研究会でのコメントを参考にしながら論文執筆を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
先述したように、飯田は25年度に予定していたインタビューを行うことができなかった。その関係で、倫理審査費用、インタビュー謝礼金、インタビュー音声反訳に計上していた予算を使用することができなかった。 (今後の推進方策)に記した現地調査のための旅費、インタビュー謝礼品、および収集したインタビューデータの音声反訳等に研究費を使用する。25年度にすることができなかったインタビューは26年度に集中して行い、上記の費用を使用する予定である。また、研究会や成果発表のための旅費、および図書購入費として研究費を使用する。
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Research Products
(10 results)