2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24520930
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
飯田 淳子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 教授 (00368739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 光穂 大阪大学, コミュニケーションデザイン・センター, 教授 (40211718)
松岡 秀明 大阪大学, コミュニケーションデザイン・センター, 招聘教授 (80364892)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 緩和ケア / 人類学 / 感覚的経験 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は調査を完了し、データ分析および理論的考察をするとともに研究成果の発表をおこなった。 1.調査:飯田は岡山県のA診療所で、前年度までに十分収集できなかった患者およびその家族のインタビューを主におこなった。松岡は東京のB病院で補足調査をおこなった。 2.分析・考察:飯田は主に、A診療所がホスピスだったころ半年間泊まり込んで夫を看取った女性がその過程でかいた絵手紙と、それにつけたコメント・記録、そしてそれらを15年後にふり返った語りの分析をおこなった。その結果、この女性や周囲の人々が「感覚的に豊かな社会空間」(sensorially rich social space)を積極的につくり出していたことにより、意識をほとんど失いながらも人格と固有性を維持した患者の身体のあり方が明らかになった。この他の調査結果についても分析を進めている。松岡は、緩和ケア病棟の入院患者に死が迫ってきて身体的能力が低下してきた際、どのような身体感覚を重視するかは患者によって異なっていることを明らかにした。歩行を重視する患者にとっては、歩行できるという機能と、歩行の身体感覚のいずれもが重要と考えられ、そうした患者にとっては緩和ケア病棟の医療従事者のなかでも理学療法士が行なうリハビリテーションが重要であることが理解された。 3.成果発表:飯田は上記の分析の途中経過を川崎医療福祉大学質的研究勉強会で発表した。また、さらに分析・考察を進めた結果を日本文化人類学会第50回研究大会(28年5月28日)で発表予定である。松岡は上記の知見を『死生学年報2016』に「死に抗って―死をまぢかに控えた人間はなぜリハビリテーションをするのか」という論文として発表した。
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Research Products
(5 results)