2016 Fiscal Year Annual Research Report
Study on reform of information disclosure legal systems
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24530019
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宇賀 克也 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (90114397)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 情報公開 / 情報開示 / 情報提供 / オープンデータ / 非識別加工情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
情報公開制度については、開示請求をまって受動的に開示する仕組みが第1段階である。我が国は、1999年に「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」2002年に「独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律」が制定されており、また、都道府県は100パーセント、市区町村においてもほぼ100パーセント、情報公開条例が制定されている。もっとも、地方公共団体の組合については、なお情報公開条例が未制定のものが少なくないので、未制定の地方公共団体の組合に情報公開条例を促すことが、重要な課題である。第2段階は、開示請求を待たずに能動的に情報提供を行うことであり、オバマ政権の「開かれた政府」政策が、最も進んだ情報提供といえる。第3段階は、透明性の確保や説明責任を確保するための情報提供を超えて、提供された情報が民間で有効に活用され、それにより公共サービスが改善されたり、新産業が創出されたりすることであり、このオープンデータ政策を充実させることこそ、わが国が目指すべき目標である。そのためには、単に情報を提供することにとどまらず、機械可読なデータ形式で、かつ、オープンライセンスで提供することが重要である。我が国のオープンデータ政策については、なお不十分な点が多く、提供される情報が少ないのみならず、データ形式の面でも、PDF形式のものが多く、より利用しやすいデータ形式による提供を拡大することが、今後の重要な課題である。2016年に行われた「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」および「独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律」の改正による非識別加工情報の制度は、従前は個人情報として不開示にされていた情報を非識別加工して情報提供を可能にするものであり、オープンデータ政策を深化させたものと位置付けることができる。
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