2013 Fiscal Year Research-status Report
政官関係と統治の変容に関する比較制度的・憲法学的研究
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24530020
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
只野 雅人 一橋大学, 大学院法学研究科, 教授 (90258278)
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Keywords | 統治構造改革 / 両院制 / 選挙制度 / 政治法 |
Research Abstract |
本年度(平成25年度)は、初年度(平成24年度)における基盤の整備をふまえ、1.EUとフランスを中心とした研究への着手、2.方法論的な視座の整序と成果の刊行、を行うことを予定していた。 このうち2.については、初年度から準備していた成果を、刊行することができた(山元一=只野雅人編訳『フランス憲政学の動向 法と政治の間』慶應義塾大学出版会、2013年)。編者による解題という形で、フランス憲法学における蓄積と近時の理論動向をふまえ、研究課題の解明の前提となる方法論について整序を行うことができた。 一方、1.については、当初の予定を変更し、来年度(平成26年度)以降に取り組むこととした。かわって、本来は来年度(平成26年度)に予定していた、日本の統治構造の分析に、重点的に取り組んだ。2012年の衆議院議員選挙、2013年の参議院選挙を経て、政権の枠組みが大きく変わり、憲法改正論を含む統治構造改革の議論が重要な争点として浮上した。また、投票価値の不均衡をめぐる一連の司法判断の結果、選挙制度改革が重要な課題となった。そこで、こうした政治的与件の急激な変化や変動をふまえ、改憲論を含む統治構造や改革論議の分析が、急務であると考えたからである。別添のように、現議会政や選挙制度を中心に状分析に軸足を置いた複数の論考を公刊している。また、参議院の憲法審査会・選挙制度協議会などでも、参考人として、研究課題と関連するテーマにつき意見を述べている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた順序の変更はあるものの、第1年目、第2年目と、研究は順調に進行している。第2年目の課題の一部(EUとフランスを中心とした研究への着手)を第3年目に先送りしたが、他方で、第3年目に予定していた課題(日本の統治構造の分析)に、第2年目から重点的に取り組むことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、引き続き日本の統治構造の分析を進めると同時に、EU・フランスについても検討を行ってゆく予定である。フランスの2008年7月の大規模な憲法改正、2012年の政権交代以降における、議会と政府の関係の変化に焦点を合わせ、検討を進める。また、平成27年度前半までに成果の公刊を行うべく、論文の執筆等を行う。日本の統治構造の分析も、引き続き継続してゆく。これまでと同様に、学会や研究会等の機会も活用しつつ、内外の専門家や実務家との意見交換も積極的に進める。また、大統領選挙以降の変動を調査するために、平成26年度後半に一週間程度のフランスへの出張を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
支出の結果残った端数を平成26年度に繰り越した。 ごくわずかな額なので、平成26年度予算の中で執行する。
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Research Products
(7 results)